『信州そば』なのに原料は中国産!そんなことが許されるのか!?

「信州そば」と言われるように、信州いまの長野県はそばが有名です。
 そばは昼夜の寒暖差の大きく、水はけのよい高冷地を好むことから、昔から上質なそば粉がとれたことで、そばが名産となりました。当初は「そばがき」などの団子状にして食していたものが、現在の麺状態の「切りそば」になったのも信州がはじまりとされます。

 それがいま、原料に中国産やロシア産のそば粉が使われているのに『信州そば』という商品の「日本そば」が平然と流通し、販売されています。
 例えば、ファミリーマートのプライベートブランドの『信州そば』という乾麺がそうです。

ファミリーマートPB『信州そば』

〈自家挽きしたそば粉を使用。のどごしの良い細めのそばです。〉
 とまで売り文句が書かれていますが、「自家挽きした」のは中国もしくはロシア産のそば。

 そんな実情に、業界団体関係者はこう語っています。

「信州で穫れたそば粉を使った場合は『長野県産そば粉使用』と表示します。その表示がないものは、長野県産のそば粉は使っていないと理解してください。それもだいたいが外国産でまず間違いない」

 日本のそばの自給率はわずか24%(2013年度)。あとは輸入に頼っているのですが、そのうちの85%は中国産になります。
 ですから、市場に出回る『信州そば』という商品のほとんどが、実は「信州そば」でないことになります。

 どうしてこんなになっているのか? そんなことが許されるのか?

 かつて、このブログで触れた「『そばの啜り方がうるさい』とそば屋で文句をつけられた不条理」な事件も含めて、
 食品表示の問題について、今週発売された『サンデー毎日』9月4日号で書いています。

 同様の記事は、以下の毎日新聞のサイトでも閲覧できます。
http://mainichi.jp/sunday/articles/20160822/org/00m/020/002000d


 自民党が参院選で公約に掲げた「加工食品の原料原産地表示」が実現すると、『信州そば』という商品名といっしょに「原産地・中国」と明示されることになります。
 そんなことあってもいいのか?

 みなさんも考えてみてください。

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日本では使用禁止の「ラクトパミン」「成長促進ホルモン剤」が米国産の豚肉と牛肉に使われている!それを日本人が食べる!TPPと食の問題について、本日発売『サンデー毎日』に書いています!

本日発売『サンデー毎日』にTPPと食の安全について書いています!

 みなさんは、「ラクトパミン(塩酸ラクトパミン)」という薬物をご存知でしょうか?
 日本国内では使用禁止
 でも米国産の豚肉には使われている飼料添加物です。
 その輸入豚肉を日本の消費者は食べています。
 EUでも、ロシアでも、それに中国でも使用禁止どころか、
 使用された食肉すら輸入禁止なのに。

 同じように、肉牛に使用される「成長促進ホルモン剤」
 日本国内では使用禁止
 でも米国産の牛肉には投与されています。
 EUでは、絶対に使用も使用牛肉の輸入も認めないのに。

 TPPで、これから米国産の豚肉、牛肉は輸入が増えるはずです。

 果たして、安全なのでしょうか。
 そのあたりの事情について、まとめています。

 TPPと食に関する連載の第1弾です。

http://mainichibooks.com/sundaymainichi/society/2015/12/27/post-541.html


『サンデー毎日』2015.12.27号(※クリックすると拡大します!)

日本経済新聞の誤報記事といまさらながらの農林水産大臣

農林水産大臣の発言とチェック・オフ・プログラム
 NHKに出演した農林水産大臣が「チェック・オフ・プログラム」について言及したことがニュースになっています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151018/k10010274131000.html
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS18H04_Y5A011C1NN1000/

 ぼくにしてみたら、いまさら……という感じしかしませんね。

 まず、米国のチェック・オフ・プログラムについては、現地で取材して、今年の『文藝春秋』3月号からの連載で書いています。
 牛肉や豚肉の場合、1頭を出荷したところで1ドル程度からそれにも満たない額を徴収します。大量生産が可能な国柄だけに、少額徴収でも大金が集まります。
 この資金によって「ビーフ・ボード」「ポーク・ボード」と呼ばれる組織が運営され、生産者の教育や、消費者への情報提供、販路拡大、あるいは輸出の促進など、あらゆる事業を展開していきます。
 ビーフ・ボードの場合は、1920年代にチェック・オフ・プログラムが立ち上がり、1986年には法制化され全国で義務化、徴収されています。
 また、30年前には豚肉の輸入国だった米国は、このシステムの後押しもあって、いまや輸出国に転じ、TPP交渉では日本が重要五項目に入れて国内の養豚事業を守らなければならいほど、日本を脅かす存在に急成長しています。
 チェック・オフ・プログラムには任意参加による民間団体も存在し、そのひとつ豚肉の任意団体NPPC(National Pork Producers Council)は「TPPの草案を書いたのは私たちだ!」「日本も参加させるべきだと提案したのは私たちだ!」と、自負しています。いわば、TPPの仕掛け人です。
 日本の場合だと、ものすごく簡単にいってしまえば、その役割を農協(農業協同組合)が担うべきはずでした。
 それがちゃんと機能しないから、いまのような事態に陥っています。
 和牛に関していえば、「○○牛」というブランド戦略が各自治体でバラバラに展開しているから、米国のような一体性がない。米国にのみ込まれるわけですね。
 農林水産大臣がチェック・オフ・プログラムの導入について言及したことは、農協の存在に取って代わることを意味するのに、まあ、農協側(全中)の人間も暢気なものです。

日本経済新聞の誤報
 さて、食肉に関してもうひとつ。
 日本経済新聞の間違った記事、いわば誤報、嘘記事を見つけましたから、触れておきます。

日本経済新聞『伊藤ハム・米久が経営統合発表 「新興国の食欲」再編促す』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ15HTN_V10C15A9TI1000/

 先月、日本の業界第2位の伊藤ハムと第7位の米久が経営統合することが明らかになりました。
 中国の台頭と世界の食肉の買い漁り、それに対抗する国際競争力の必要性から、合併に至った経緯を説いているのですが、その中にこんな文章があります。

例えば輸入の牛バラ肉(ショートプレート)。中国との競合で、米国産(冷凍品)の取引価格が14年は1年間で9割高の1キロ1100円前後となった。これが牛丼チェーン各社の値上げにつながっている。中国の経済発展によって「肉食化」が進み、急騰した。(日本経済新聞 2015年9月16日紙面より)


 これ、まったくの間違い。出鱈目。
 中国では、米国内でBSEが発生して以来、米国産の牛肉の輸入を禁止しています。(因みに、日本の和牛も同じ理由で輸入禁止の状態です!)
 だから、米国産牛肉で「中国との競合」なんてあり得ない。
 根本が間違っている。
 ただし、香港やマカオの業者が買い付けて大陸に密輸していたケースはあります。
 それも昨年の後半から取締が厳しくなり、密輸できなくなったブローカーはアジア諸国に転売。
 いまは日本への供給量も安定しています。
 今月はじめに、牛丼チェーン店が値下げキャンペーンを実施したのも頷けます。

 日本経済新聞が、こんなお粗末な記事を掲載するとは、なんともはや……。

 日本人は世界を取り巻く食料事情を知らなすぎるような気がしています。
 そこに関心を持たないことも、いかがなものでしょうか。

本日をもって〝決起〟いたしました!

食品偽装表示の重大疑惑と愚かな蕎麦屋
 いまからちょうど半年前の4月21日。
 ぼくはあまりにも理不尽な体験をしました。

 そば屋で「蕎麦の啜り方がうるさい」と文句を付けられたのです。

「蕎麦の啜り方がうるさい」と蕎麦屋に文句を付けられた不条理
http://aonumazezehihi.blog.fc2.com/blog-entry-81.html

 そこから派生した重大な疑問。そして疑惑。

『小諸そば』の看板は食品偽装表示でないのか!?
http://aonumazezehihi.blog.fc2.com/blog-entry-82.html

 そこで、本日、「蕎麦の啜り方がうるさい」と文句を付けた首都圏最大の立ち食いそば屋チェーン『小諸そば』を景品表示法に違反すること、食の安全を蔑ろにしている疑念から、東京都にその旨をいわば〝告発〟してきました。

 『小諸そば』といえば、首都圏を中心に店舗数で最大を誇る立ち食いそばチェーン店です。
 「小諸」といえば、浅間山の麓、長野県小諸市を連想させますね。
 そう、信州・小諸です。
 そこの蕎麦です。「信州そば」で知られる信州・小諸の蕎麦です。
 思い浮かべるに……美味しそうですね!

 ところが、『小諸そば』の看板を掲げるチェーン店は、信州・小諸とはまったく関係がないのです!
 小諸市内に『小諸そば』の店舗もありません。
 それどころか、小諸市の商工会議所が組織する「小諸そば振興会」に会員として登録していて、まるで小諸と関係があるように、見せかけているのです。
 しかも、これを利用して、小諸をPRするポスターを店舗内に貼りだしていました。

 看板からして、消費者に著しい誤認を与えています。


看板に偽り有り!
 小諸市役所に問い合わせたところ、同市では標高800〜1000メートルで栽培された蕎麦は、特産品として扱われているそうです。

 ところが、小諸で生産されたそば粉すら使用されていない。
 その価格からして、店舗数の多さ、供給量からして、小諸のそば粉なんて使えるワケがない。
 小諸どころから、国産品でもなく、おそらくは海外からの輸入品。
 中国産もしくは米国産のそば粉を使っている可能性が高い。
 中国産であれば、違法薬物が検出されている事例は過去にありますし、
 米国産であればポストハーベスト農薬の残留の問題が絡んできます。

 しかし、『小諸そば』に限らず、立ち食いそばチェーン店は、そばの原料となるそば粉の原産地を公表していません。
 ある雑誌メディアが問い詰めても、一切公表しなかったそうです。
 そこまでして原産国を隠す必要性はどこにあるのでしょうか。

 『小諸そば』を展開する三ツ和株式会社のHPをのぞくと、同社が食品を製造する工場は、東京都江東区にある3つの工場のみ。
 そんなところからして、小諸にも、信州にも関連があるとは、とても思えません。

 また、『小諸そば』の店舗には「小諸そば」というメニューがありますが、これも小諸とも、地元の特産とも、また伝統料理とも、まったく関係がない。
 同社が勝手にネーミングしているだけ。

 ちょうど、昨年の今ごろでしょうか、大阪のホテルで「芝エビ」とメニューに表示していて、実は芝エビを使っていなかったことが発覚。世間を騒がせたことがありましたね。
 中国料理の世界では小さいエビのことを「芝エビ」と呼ぶ、なんて言い訳していましたけれど、
 『小諸そば』と特定地域の名前を掲げて、実はまったく関係ないなんて、この事例といっしょです。

 ただ、今日、親身になってぼくの話を聞いてくださった東京都の職員の方(本当に懇切丁寧な対応をしていただきました!)とその話をしたところ、こんな議論もありました。

 芝エビは、まったく違う種類の、しかも価格がずっと安いエビを「芝エビ」と偽って提供し、高額の金銭を得ていたことが問題になった。
 『小諸そば』の場合、「小諸」を宣伝して、その対価に高い金額を受け取っていれば、問題かも知れないが、むしろ安い金額で商品が提供されている。利用する客の側も、その安価から、これは小諸とは関係ないとある程度納得しているのではないか。悪質性は薄いのではないか____。

 なるほど、そういう理屈も成り立つかもしれません。

 でも、それが理由で、この『小諸そば』の懸案が問題ないのだとしたら、
 頭のいい輩は看板に「信州そば」とでも平気で掲げて、集客をすることでしょう。安ければ問題ないのだから。
 それが果たして正しいことなのでしょうか。


食の安全と消費者庁の存在意義
 「小諸」と「そば」がくっつけば、消費者のマインドや深層真理に働きかける要因は大きくなるはずです。
 少なくとも、国産のそば粉を使っていると錯覚する可能性は十分にあると思います。
 でも、そうではない。

 そもそも、そば屋にして「蕎麦の啜り方がうるさい」と客に文句をいう企業体質からして、
 とても食の安全に気を配っている外食専門店とは思えません。
 食品表示の在り方からしても、せめてどこの産地のそば粉を使っているのか、表示する義務くらいはあってもいいはずです。
 『小諸そば』の看板を掲げて、実は中国産、米国産の表示を見たとき、消費者はどう思うでしょうか。

 看板表示、屋号を正当化するのであれば、テレビのドラマの最後に「これはフィクションです」「実在する組織、団体とは一切関係ありません」と表示するように、「信州・小諸とは一切関係ありません」と表示があって然るべきではないでしょうか。

 東京都では、消費者庁とも連携してこの問題の調査、検討に入るはずです。
 企業側がどういうつもりで『小諸そば』と命名したのか、そこの真意も問題になるでしょう。
 いずれにせよ、本日、食品表示の在り方や食の安全について、問題と思われることを、関連行政組織に発議したことをここにご報告させていただきます。
 今後は、消費者庁、消費者行政の在り方に、注目です。


食品農薬混入事件とオウム真理教

アクリフーズ農薬混入事件に懲役3年6月
 アクリフーズ農薬混入事件で、冷凍食品に農薬を混入した群馬工場の元契約社員に懲役3年6月(求刑懲役4年6月)の実刑判決が言い渡されました。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014080802000247.html
http://www.huffingtonpost.jp/2014/08/08/poisoning-case_n_5661014.html

 中国(中国人)に限らず、日本(日本人)でも、こうしたモラルハザードは起こりうることであって、食の安全が脅かされるということですね。
 まさに国境はない。困ったものです。


アクリフーズ中国工場の秘密
 アクリフーズ(現マルハニチロ)といえば、かつて同社の中国工場の内部を取材したことがあります。
 そこでも、今回の事件で農薬が混入された冷凍ピザを作っていました。
 それも、中国人が「臭い!」と嫌って食べないチーズを使って。中国人の手作業で。中国の市場を狙って。
 当時は、北京オリンピック(08年)の前で、かつての日本の高度成長時代のように急速に中国が経済発展をしていく最中。
 冷凍食品といっても、電子レンジがようやく中国沿岸部で普及しはじめていた頃でした。
 その勢いにのって、西洋の乳製品が中国に浸透していくことに期待していました。
 ちょうど、アクリフーズの前身である雪印食品が、高度経済成長期に躍進したように。
 それでも、中国の人たちに「臭い!」といって食べない買わない食品を作らせるという、ちょっと考えてみれば凄まじいことをしていたものです。

『中国食品工場の秘密』『中国食品工場の秘密』
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094082722

 そんな現状が、先月、地元メディアの報道で明らかになった上海の食品加工工場のモラルハザードにも繋がっているのかも知れません。
 ハンバーガーやチキンナゲットなんて、自分たちが食べるのではない、よその誰かが食べる、いや、ひょっとしたら〝食べもの〟という認識すらなかったのかも。中国の国土や人口に比べたら、まだまだマクドナルドの普及なんて浅いものですし、決して庶民の味でもなんでもありませんから。
 そんな現実感覚の喪失や、他者への想像力の欠如が、農薬混入事件をはじめ、いろんな事件に繋がっていくのでしょうね。

 ただ、当時のアクリフーズの中国工場は日本人も常駐して、中国人に馴染みのないものだっただけに、品質管理や指導も徹底していました。
 その模様は、奇遇にも現在増刷販売中の拙著『中国食品工場の秘密』に載っています。


農薬混入事件とオウム真理教の接点
 奇遇といえばもうひとつ。
 今回の事件を「思慮分別に欠ける悪質な犯行」として、被告人に実刑判決を言い渡した前橋地裁の野口佳子裁判長。
 実は彼女、地下鉄サリン事件などを引き起こしたオウム真理教の井上嘉浩元被告の一審で、無期懲役判決の判決文を書いた人物(当時は合議体の右陪席)。
 井上元被告は、その判決公判で「無知懲役」を言い渡された瞬間、証言台に立っていられないほど泣き崩れたことを、いまでも記憶しています。
 ただ、井上元被告はその後の控訴審で無期懲役を破棄され、死刑に。そのまま確定しています。

井上嘉浩2 無期懲役が死刑になった井上嘉浩

 今年5月にあった菊地直子被告の裁判で証言に立った井上死刑囚は、自らを「いまでも童貞」と認めるいわば〝童貞の死刑囚〟。
 いまは、再審の準備を進めているようですが、最初の判決で死刑を免れたことは、彼にとってもかえって残酷だったような気がします。
 その模様は、こちらの書籍に詳しいです。


オウム裁判傍笑記『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094026979

私が見た21の死刑判決『私が見た21の死刑判決』(文春新書)
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166607068
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/1666070600000000000H

 いやはや、まったく関係ないと思っていたことが、こんなところで結びつくなんて。
 先のことはわからないものです。


プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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