中国食品工場の秘密

またしても中国食品工場で……
 驚きました。中国食品工場の実態の報道。
 使用期限切れの材料を使っていたり、
 床に落ちた食材をそのまま拾って使ったり、
 変色して異臭を放っている肉をそのまま加工したり……。
 この上海の工場で加工された食品は日本へも入ってきていて、影響が出ています。

http://jp.reuters.com/article/jpchina/idJPKBN0FQ1N820140721
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FR0D520140722
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC2200H_S4A720C1MM8000/

 かつて、中国の食品加工工場をいくつも取材してきた立場からすると、

『中国食品工場の秘密』 『中国食品工場の秘密』
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094082722

 今回の報道は幾重にも驚かされることばかりです。

床は清潔に保つ理由
 少なくとも、ぼくが現地で見た食品加工工場では、
 床に落とした食材を使ってはいけないことは、徹底して指導されているはずでした。
 特に、日系企業が参入、取引している現場では。
 その為に、床はゴミひとつ落としていないように清潔に保っている。
 つまり、落ちた食材がはっきりとわかるように、そしてそれを再利用しないように、わざと目立たせて、衆目の監視におけるようにもしていました。
 もうこれは従業員のモラルの問題でしょうね。

チキンナゲットの秘密
 ただ、チキンナゲットについていえば、
 以前からこの加工については、米国でも問題を指摘する声がありました。
 ナゲットに使われる鶏肉は、卵を産むだけ産んで閉経した鶏や、急に弱くなった鶏、あるいは出所のわからない屑肉をごちゃまぜにして、プレス加工する。
 だから、ナゲットというのはみんな同じかたち(整形)になっているわけで、いつ、どこの、どんな肉を使っているのか、素材がよくわからないことでは、原点はいっしょ。
 それでも、安くて、それに美味しいから、みんな食べちゃう。
 それをどれだけの人が知っているのか……。

報道が許される!?
 そうした状況を踏まえても、もっと驚かされたのは、
 これが中国メディアの潜入取材によって、中国国内で報道されたこと。
 それだけ中国国内でも、食の安全に対する視線の厳しさが高まってきているということです。
 日本では、中国の食材や加工食品を〝毒食〟と見なして敬遠する消費者も多いですが、だんだんと中国でもその意識は高まり、変わっていく証なのでしょう。
 特に、中国当局がこのような報道を規制したり、制裁を加えないのであれば、国を挙げて内外に食の安全への取り組みをアピールする狙いがある。
 食の安全について、自己批判ができるほどのレベルになっている、それだけ言論も自由で、安全な食にこだわっている国であることをプロパガンダする。
 このところ、中国国内でもカドミウム汚染米の流通など、食の安全に対する懸念や、政府当局への不満もくすぶっていますから。
 もっとも、この食品加工工場が外資系(米国)だから、というのも放任しやすい理由なのかもしれませんけど。

学習しない中国工場
 その上で、もっともぼくが驚かされたこと。
 今回の報道は〝潜入取材〟とされています。つまり、記者が食品の加工場にカメラを持ち込んで詳細を取材したもの。
 仮に、工場側の許可を取って内情を撮影していたのなら、これは〝潜入〟とはならないでしょうし、まして、このようなネガティブ報道を許すはずがない。
 とすると、やはり従業員に紛れて、こっそりカメラを持ち込み、隠し撮りしたものなのでしょうか。
 あるいは、内部に手引きする人がいたのかも。
 だとしたら、それこそ大問題!
 食品加工の現場にカメラが持ち込めたように、なんだって持ち込めることを、この取材報道は示してしまっている。
 それこそ、農薬や危険物を持ち込むことが可能だということ。
 中国毒ギョーザ事件や、アクリフーズ農薬混入事件を連想させるばかりか、依然として何の対策もとられていないことを証明してしまいましたね。
 それこそ、びっくり!

 食の安全性を問題視したい報道なのでしょうが、
 もうカメラという異物を持ち込んだ時点で報道する側も食の安全を脅かしている当事者となった、まさに自滅報道に陥っています。
 つまり、食品衛生の重要性がわかっていれば、勝手にカメラを持ち込むこともできなかったはず。その時点で、期限切れや床に落ちた肉を使ってしまう人たちの意識と同じではないでしょうか。
 使用期限切れの食材を加工していたことも去ることながら、
 隠し撮りを認めてしまうほど、杜撰な管理体制が明らかになったことのほうが大問題だと、ぼくは思います。
 もっとも、そこまで管理体制がしっかりしていれば、今回のような事件も発覚しなかったでしょうけど。



 こちらも食料事情に詳しいです!


 『食料植民地ニッポン』
食料植民地ニッポン
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784093897082

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集団的自衛権と残留日本兵と過ぎゆく時間

 いくつか積み重なっていた懸案がようやく一段落。同時期の締切に加え、まったく違うことを考えなければならないというのも辛い。それにこのところ、身体の調子もよろしくない。なんだか疲れやすい。他人からも「顔色が悪い」「疲れてますね」と指摘される。放射線の浴びすぎかしら。それとも単なる身体の衰え。あるいは鬱か……。
 こう見えても(と、誰がどう見ているのかわかりませんが)、チェルノブイリとフクシマの両方の放射線を浴びた数少ない人間のひとり。原爆症では「ぶらぶら病」と呼ばれる無気力症状が報告されているし、チェルノブイリでも被曝した人たちに「疲れやすい」「イライラする」「モチベーションや感情がコントロールできない」という症例報告も多い。
 左眼の瞳孔の脇の白眼に、もうひとつ瞳孔ができたように赤い丸い染みができたのは先週の土曜日のこと。びっくりして眼科に急行すると、その部分の細い血管が切れて出血している、との診断。人によってはよくあることで、これからも繰り返す可能性が高いとのこと。しかも、ついでながらドライアイとの診断もくだる。眼が老化している証。加齢と共に眼球の白眼にも皺が寄ることも教えられた。つまり、「目玉おやじ」にも皺がよることらしい。
 うーん……。もう、やんちゃもできなくなったということか。いったい、これまでの人生ってなんだったのだろう? これまでのキャリアや、いまの自分の置かれた現状を振り返ってみる。喪失感も加わって、だんだんと憂鬱になって来る……。モチベーションが上がらなくなる。感情も沈んでくる。そうやって、堂々巡りがはじまる。やっぱり鬱か。それとも衰えか。生きるって、どういうことなんだろう? 人生って、いったい……。
 そんな時に、この本の校了作業をしていたのも、また運命なのかも知れません。
 男の生き様を(そして、それを支えた女の生き様もいっしょに)、あらためて考えさせられました。
 小学館文庫から再文庫化して、来月5日に刊行されます。

『帰還せず〜残留日本兵戦後六〇年目の証言〜
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094060744

 1945(昭和20)年の夏の敗戦。しかし、戦地の日本兵たちの中には、帰国を拒んだ日本兵たちがいました。戦争の終結、敗戦を知らなかったのではありません。自らの意思で帰還を拒んだのです。
 なぜ、あなたは帰らなかったのですか‐‐?
 2005(平成17)年、戦後60年の夏。その理由を尋ねる旅に出ました。ぼくも戦争を知らない世代です。そこで耳にした彼らの生き様と戦争体験。当時、東南アジアの各地に存命だった残留日本兵14人の証言と、それを巡る旅の記録です。
 来年、戦後70年の節目を迎えるにあたっての刊行です。

 集団的自衛権が議論される中にあっても、まずは読んで欲しい一作です。
 かつて日本が歩んだ戦争とはどういうものだったのか。
 生き延びてなお、祖国に帰らなかった日本兵たちのそれぞれの理由。
 そして、その生き様です。

 来月5日、書店に並びます。


プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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