デング熱と死刑・予測的中の複雑

デング熱と1年前の出来事
 意外と……というより、ほとんど知られていませんが、
 猛暑だった昨年の夏、四万十川の畔、高知県四万十市江川崎で、日本の観測史上最高の摂氏41.0度を記録したしましたが(これが現在でも日本の最高気温です)、
 その瞬間に観測地点の脇に立っていた唯一の日本人(というより人間)が、ぼくです。
 自慢にもならないかも知れませんが、嘘ではありません。
 その時の模様は、『文藝春秋』昨年10月号に報告しています。
 随分と貴重な(そして、過酷な)体験をしたものですが、その時にいっしょに猛暑や気候変動の研究もしています。
 このまま、熱い夏が続けばどうなってしまうのか、そして猛暑の原因として避けては通れない地球温暖化が進めば、どんな事態を招くのか、同じ原稿の中で触れています。ちょうど1年前のことになります。
 その中で、デング熱の都市感染のことについても触れています。
 そう、ちょうどここ数日、東京・代々木公園から感染がはじまったように。
 まさか、東京にデング熱がやってくるなんて……。事前報道(予測)が当たって複雑な気分……。
 デング熱を媒介する蚊は、ちょっとした窪みに水があれば生息できるとされます。
 古タイヤや空き缶などのちょっとした水溜まりはもとより、側溝や雨樋などでも。
 東京都では代々木公園の対象地域を消毒したようですが、でもやはり気をつけたほうがいい。

『文藝春秋』2013年10月号/表紙『文藝春秋』2013年10月号

210頁〜 (※画像はクリックすると拡大します。)
『文藝春秋』2013年10月号(2)

(中略)

216〜217頁(デング熱について触れた箇所)(※画像はクリックで拡大)
『文藝春秋』2013年10月号(5)



死刑執行
〜第二次安倍政権・谷垣禎一法相で11人

 予測と言えば、ツイッターで事前にちょっと呟いてみましたが、
 本日、死刑が執行されましたね。2名に。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140829/k10014176991000.html
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG29H0A_Z20C14A8CC0000/

 来週の内閣改造を前に今週中にはあるのではないかと思っていましたが……。
 ただ、予想対象者が違っていました。
 谷垣さんも法相を外れる前に目立っておこうというのなら、やはりあの人かな……とも思っていましたが……。法相就任当時には、任期中にやるつもりでいる、と言っていたとかいないとか……。
 昨年も参院選の前にあるのではないかと噂が立ちましたが、なかったですね。
 やっぱり難しいのかもしれませんね。

 まあ、感染拡大も死刑も、予測が当たってあまり嬉しいものでもありませんが……。



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悲しいこと〜最後の残留日本兵の死〜

【悲報】最後の残留日本兵が死んだ
 インドネシアの最後の残留日本兵だった小野盛さんが、25日の朝に亡くなりました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140825/k10014066951000.html
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140825/asi14082513170002-n1.htm
http://www.asahi.com/articles/ASG8T5QGVG8TUHBI00S.html
http://www.jakartashimbun.com/free/detail/19919.html

 これで、ぼくが9年前、戦後60年の夏に出逢った14人の残留日本兵は、誰もいなくなりました。
 本当は、ぼくが知らないだけで、どこかにひっそりと暮らしている元日本兵はもっといるのかも知れませんが、
 でも、少なくともこれでぼくの知る限りの残留日本兵はこの地球上から誰もいなくなってしまいました。
 そして、あの戦争もまた遠くなりました。
 とても、悲しい。

 亡くなられた小野盛さんのことも、拙著に詳しいです。
 北海道生まれで、志願して南方に下ったこと。
 それまで干しバナナしか食べたことがなかったから、本物のバナナに喜んだこと。
 終戦直前に帰国の機会があったのに、これを他の人間に譲ったこと。
 敗戦を知って、軍刀を抜いて暴れたこと。
 インドネシア独立戦争に参加したこと。
 その戦闘で左手を失ったこと。
 そして、独立を勝ち取ったあとの、彼の生き様。遠くから見た日本の姿。


『帰還せず 残留日本兵六〇年目の証言
『帰還せず』小学館文庫
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094060744
(※表紙はタイの最後の残留日本兵中野弥一郎さんです。彼も亡くなられています。)

 小野さんは、ぼくにいろいろ話してくださいました。
 彼だけ2日に亘って話を聞いています。
 そして、語り尽くしたあとには、ご家族の食卓に招かれて、いっしょに食事をとらせていただきました(客人を招き、それに応えるのが、現地の風習なのだそうです)。
 インドネシアの家庭料理の味、いっしょに食べたサテの味は忘れられません。
 そして、その食卓の壁には戦争の時代を生きた様々な証が(それは、日本のものも、インドネシア軍のものも)掲げられていました。
 思い出すだけでも、やっぱり悲しい。


そして、みんな逝ってしまった……
 去年だったかな、あるテレビ番組で小野さんをかたせ梨乃が訪ねていく企画が放送されていました。
 日本人が訪ねてきたこと、それも女優さんに声をかけられたこともあったのでしょう、とても嬉しそうに、お元気でいらっしゃった姿に、見ていてこっちも嬉しかったのに……。

 これで、本当に誰もいなくなってしまったのですね。
 あの時、自らの意思で日本へ帰ることを拒んだ日本兵たち。
 最後となった元日本兵が亡くなる20日前、今月の5日に彼らの生きた記録が再文庫化されて日本の店頭に並べられたばかりだったのに、
 それとすれ違うように逝ってしまった。
 それもなにかの縁だとするのなら、あまりに悲し過ぎます。

 ただただ、悲しい。

 ご冥福を。心より。


『帰還せず』小学館文庫/帯なし
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094060744

69年前のこの日

69年前のこの日、あの時、あの場所で
 終戦の日。
 彼らはどんな思いで玉音放送を聞いたのだろう?
 そして、彼らが決意した日。
 そうせざるを得なくなった日。

 静かに、戦争の時代を生きた人たちに祈りを捧げたい日です。

『帰還せず』小学館文庫
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094060744

 詳細はこちらにて。
http://aonumazezehihi.blog.fc2.com/blog-entry-96.html

ロビン・ウィリアムズと『フィッシャー・キング』とハットリ・マサル

あ!ロビン・ウィリアムズが死んじゃった!
 ロビン・ウィリアムズさん死去。63歳。自殺の可能性が高いとのこと。重度の鬱状態にあったというし、薬物依存やアルコール中毒でリハビリを繰り返していたというし……。

http://www.asahi.com/articles/ASG8D2QT9G8DUHBI00D.html
http://www.cnn.co.jp/showbiz/35052233.html

 『フィッシャー・キング』(91年)という映画が好きでした。いまでもとても好きです。ジェフ・ブリッジスと共演した名作。アカデミー賞(主演男優賞ノミネート)は逃しちゃったけど、ゴールデングローブ賞(主演男優賞/ミュージカル・コメディ部門)を受賞。因みに、この作品で、マーセデス・ルールがアカデミー、ゴールデングローブ両助演女優賞を受賞しています。あまり目立たなかったけど、〝いい女〟に見えたしなあ……。
 この作品の役柄と彼の人生も、どこかダブっていたのかも。そう思うと、ちょっと哀しくなります。

 やはり彼がアカデミー主演男優賞にノミネートされて獲れずに、ゴールデングローブ主演男優賞を受賞した作品に『グッドモーニング,ベトナム』(87年)も。
 彼がDJとして最初に叫ぶ名調子「ぐーーーーーーーど!モーニン!ベトナム!」は、彼が大人になったピーターパン役を演じた、スティーブン・スピルバーグ監督作品『フック』(91年)で思い切りパロディーにされているのを観て(映画の舞台のネバーランドに朝が来ると、海賊のひとりが大きなメガホンで「ぐーーーーーーーど!モーニン!ネバーランド!」と叫ぶ)、映画館で独り大笑いした記憶があります。いっしょに隣で観ていた女の子からは、「あなただけ、笑いのポイントがずれている」と、怪訝な視線を送られました。何がおかしいのか、あとでいくら説明してもまったくわからなかったようです。
 いずれにせよ、それだけ米国にインパクトを与えていた役者さんだったのでしょう。


独りで苦しむということ
 この映画『フィッシャー・キング』が好きになった理由はいくつかありますが、そのうちのひとつ。
 コミュニケーションの存在と虚無について探究されていることがあります。
 あえてストーリーには触れませんが、作中で出逢ったロビン・ウィリアムズとジェフ・ブリッジスが、それぞれに独り言をいうシーンが出てくる。そうすると、それを聞いた相手が「誰に向かって話しているの?」と問いかける。助演女優賞を獲ったマーセデス・ルールも、食事の約束を破られ独りで怒りをぶちまけていると「あら?私は誰に向かって話しているのかしら?」と、自分の声に気付くシーンが出てくる(確か、そんな記憶です)。深夜ラジオのDJ役だったジェフ・ブリッジスの発言から、悲劇が起きて運命の糸が絡まりはじめるのですが(あ、ストーリーを言っちゃった!)、言葉を発することとはなにか、意思を通わせることとはなにか、いまでも心に残る作品です。
 それはきっと、コミュニケーションツールの急増した現代においても通じるところもあるはず。いや、だからこそ、一歩通行の言葉は増えているのかも知れません。
 その一方で、ロビン・ウィリアムズという人はその原点から抜け出せることができなくなって、独りの世界に潜り込んじゃったのだろうな。


「ハットリ!聖杯を持ってきてくれ!」
 それから、もうひとつだけ。
 この作品は、先に観ていた服部勝くん(あえて実名)という大学の友人に「アオヌマぁ〜、あの映画、面白いよぉ」と勧められて観た記憶です。
 早稲田大学で演劇のサークルに所属していたハットリとは、よく映画や小説、戯曲の話で、侃々諤々と多感な時期を盛り上がっていました。
 この作品についても、ああだこうだ話したな……。彼は、これと同時期に公開された『ポンヌフの恋人』が、とってもお気に入りで……。
 あ、そういえば、あいつに貸したサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』の日本語版、まだ返してもらってないや!
 彼とは、大学を出てからそのまんま。消息もわからない。
 タモリと村上春樹の嫌う名古屋の出身。確か実家は魚屋だったように思います。

「服部勝くん!連絡乞う!」「求む、消息」

 それと……、

「我に、聖杯を!」

 そう呼び掛けたところで、独り言のようにこれも虚空の世界を彷徨うだけかも知れませんね。
 求める人に、こちらの思いは伝わらない。
 今も昔も、それは変わらないのかも。

 ロビン・ウィリアムズがみせた生きることの苦しみ。
『フィッシャー・キング』お薦めです。


食品農薬混入事件とオウム真理教

アクリフーズ農薬混入事件に懲役3年6月
 アクリフーズ農薬混入事件で、冷凍食品に農薬を混入した群馬工場の元契約社員に懲役3年6月(求刑懲役4年6月)の実刑判決が言い渡されました。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014080802000247.html
http://www.huffingtonpost.jp/2014/08/08/poisoning-case_n_5661014.html

 中国(中国人)に限らず、日本(日本人)でも、こうしたモラルハザードは起こりうることであって、食の安全が脅かされるということですね。
 まさに国境はない。困ったものです。


アクリフーズ中国工場の秘密
 アクリフーズ(現マルハニチロ)といえば、かつて同社の中国工場の内部を取材したことがあります。
 そこでも、今回の事件で農薬が混入された冷凍ピザを作っていました。
 それも、中国人が「臭い!」と嫌って食べないチーズを使って。中国人の手作業で。中国の市場を狙って。
 当時は、北京オリンピック(08年)の前で、かつての日本の高度成長時代のように急速に中国が経済発展をしていく最中。
 冷凍食品といっても、電子レンジがようやく中国沿岸部で普及しはじめていた頃でした。
 その勢いにのって、西洋の乳製品が中国に浸透していくことに期待していました。
 ちょうど、アクリフーズの前身である雪印食品が、高度経済成長期に躍進したように。
 それでも、中国の人たちに「臭い!」といって食べない買わない食品を作らせるという、ちょっと考えてみれば凄まじいことをしていたものです。

『中国食品工場の秘密』『中国食品工場の秘密』
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094082722

 そんな現状が、先月、地元メディアの報道で明らかになった上海の食品加工工場のモラルハザードにも繋がっているのかも知れません。
 ハンバーガーやチキンナゲットなんて、自分たちが食べるのではない、よその誰かが食べる、いや、ひょっとしたら〝食べもの〟という認識すらなかったのかも。中国の国土や人口に比べたら、まだまだマクドナルドの普及なんて浅いものですし、決して庶民の味でもなんでもありませんから。
 そんな現実感覚の喪失や、他者への想像力の欠如が、農薬混入事件をはじめ、いろんな事件に繋がっていくのでしょうね。

 ただ、当時のアクリフーズの中国工場は日本人も常駐して、中国人に馴染みのないものだっただけに、品質管理や指導も徹底していました。
 その模様は、奇遇にも現在増刷販売中の拙著『中国食品工場の秘密』に載っています。


農薬混入事件とオウム真理教の接点
 奇遇といえばもうひとつ。
 今回の事件を「思慮分別に欠ける悪質な犯行」として、被告人に実刑判決を言い渡した前橋地裁の野口佳子裁判長。
 実は彼女、地下鉄サリン事件などを引き起こしたオウム真理教の井上嘉浩元被告の一審で、無期懲役判決の判決文を書いた人物(当時は合議体の右陪席)。
 井上元被告は、その判決公判で「無知懲役」を言い渡された瞬間、証言台に立っていられないほど泣き崩れたことを、いまでも記憶しています。
 ただ、井上元被告はその後の控訴審で無期懲役を破棄され、死刑に。そのまま確定しています。

井上嘉浩2 無期懲役が死刑になった井上嘉浩

 今年5月にあった菊地直子被告の裁判で証言に立った井上死刑囚は、自らを「いまでも童貞」と認めるいわば〝童貞の死刑囚〟。
 いまは、再審の準備を進めているようですが、最初の判決で死刑を免れたことは、彼にとってもかえって残酷だったような気がします。
 その模様は、こちらの書籍に詳しいです。


オウム裁判傍笑記『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094026979

私が見た21の死刑判決『私が見た21の死刑判決』(文春新書)
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166607068
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/1666070600000000000H

 いやはや、まったく関係ないと思っていたことが、こんなところで結びつくなんて。
 先のことはわからないものです。


『中国食品工場の秘密』本日増刷!

『中国食品工場の秘密』緊急増刷です!
 よみうりテレビ『情報ライブ ミヤネ屋』に出演したのは、先月24日のこと。
 上海の食品加工工場の実態が地元放送局の潜入取材で報じられたことを受けてのことでした。
 その時に、宮根さんが手に取って紹介してくださった本。
 『中国食品工場の秘密』(小学館文庫)が、本日増刷となりました。
 地元メディアの報道が伝わってから、問い合わせが多かったようで、アマゾンでも「品切れ」になっていました。
 早ければ、今日から書店に並びます。

『中国食品工場の秘密』『中国食品工場の秘密』
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094082722

中国に依存する日本の食料
 上海の食品工場の実態が報じられてから、またしても、というべきなのでしょうか、雑誌媒体を中心に中国は毒食が氾濫している、と煽り立てるように報じています。
 ネズミの頭の入ったチャーハンが流通していた、汚染水が料理に使われた、ネズミの肉が串焼きになって売られていた……などなど。
 でも、もうそんなことは再三再四伝えられ(なかには悪意に満ちたものもある)、中国がどんな場所なのかわかっているでしょう。
 いま凝視しなくてはならいのは、では、どうして日本はそんな国に食料加工を依存しているのか。あるいは、食料を依存せざるを得ないのか。
 その現地で、日本の企業は食の安全を確保するためにどんなことをしているのか。
 日本人が知るべきは、その視座だと思います。

『中国食品工場の秘密』
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094082722

 驚くべきことに(と、いうよりぼくと編集担当者がいちばん驚いているのですが)、出版から6年後にしての増刷です。
 当時の中国毒ギョーザ事件(08年)を受けて執筆がはじまったものですが、
 やはり当時はティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演の『チャーリーとチョコレート工場』という映画が話題で、
 当初の企画では「青ちゃんと中国食品工場」という題名案も挙がっていました。
 冗談のようなホントの話なのですが、
 でも、これだけ中国の(そして、その他の国の)食品工場の内側を(それと、日本の食の現場を)見てきた人物もまずないと思います。
 是非、手に取ってみてください。
 そして、考えてみてください。
 日本人が直面している問題に。



 日本の食料事情については『食料植民地ニッポン』(小学館)に詳しいです。

『食料植民地ニッポン』
食料植民地ニッポン
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784093897082




 そして、こちらもみなさんに知って欲しい物語です。
 世界の中の日本の位置づけがわかるかも知れません。

『帰還せず』
残留日本兵六〇年目の証言
『帰還せず』小学館文庫/帯なし
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094060744
http://aonumazezehihi.blog.fc2.com/blog-entry-96.html




『帰還せず 残留日本兵六〇年目の証言』小学館文庫版 本日発売!

忘れてはならない大切なこと……
 こういう(つまり、ぼくの使命とするような)仕事をするにあたって、いちばん大切なことは、現場を知ること。この目で見ること。感じること。
 それが叶わないことであるのなら、当事者から話を聞くこと。
 ……だと、ぼくは思います。

 幸か不幸か、ぼくは戦争を知りません。それも、日本が負けた先の大戦を。
 戦争があったのは、ぼくが生まれるよりもずっと昔のことになります。
 だから、現場を知ることはできない。
 だけど、話を聞くことはできました。
 敗戦から60年が過ぎた夏。
 戦争が終わっても日本へ帰ることを拒んだ日本兵たち。


帰還せず 残留日本兵六〇年目の証言 小学館文庫版
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094060744
『帰還せず』小学館文庫


あなたは、なぜ日本へ帰らなかったのですか?
 祖国のために命をかけて闘った日本兵のなかには、終戦を迎えても復員をしなかった人たちが少なからず存在しました。戦後もずっと現地に留まり、生涯を全うした残留日本兵たちです。
 戦争は個人の自由を奪います。兵隊たちは個人の意思に関係なく戦地に送り込まれます。そして、終戦と同時に個人の自由が回復されたとき、まず自らの意思で祖国へは帰らないと決めた。その理由。彼らが背負ったもの。そこに見え隠れする戦争の正体。
 当時、ぼくが話を聞くことができたのは、東南アジアに残存する14人の元日本兵たちでした。
 そしていま、時間の流れと共に、ひとり、またひとりとこの世界から去っていっています。
 今年は終戦から69年。来年は戦後70年の夏を迎えます。

 あの時、どうしてあなたは日本へ帰らなかったのですか  

 その事情を聞いて歩いた旅の記録です。そして、ぼくの知った戦争の記録です。
 是非、多くの人たちに知って欲しい物語です。

『帰還せず 残留日本兵六〇年目の証言』小学館文庫
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094060744

 本日、小学館から再文庫化されて発売です。


司法の民主化なんてあり得ない

東電旧経営陣の「起訴相当」判断
 検察審査会が、東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐって、同社の旧経営陣の不起訴を不当、起訴すべきである、との判断を下しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140731/k10013427481000.html
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140731/trl14073111310002-n1.htm

 起訴が相当とされたのは、勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長の3人。
 勝俣元会長といえば、ご自宅の関係で、よく四谷三丁目あたりをうろうろしていて、交差点から北にちょっと行ったところにある『大勝軒』に入る姿を写真週刊誌にも撮られていました。
 だけど……

あ!会長!そのラーメン屋は……
 実は、あそこにある『大勝軒』は、地元の人たちの話によると、
「テレビや雑誌で紹介されている、あの有名な本家本元とはまったく関係ない」そうです。
 そのことを勝俣さんはご存知で通われていたのでしょうか。

 さて、これで起訴相当なったところで、起訴はあるのでしょうか。
 小沢一郎代議士の例が思い浮かびますね。
 検察は再捜査といいながら、言い訳程度のことをして、また不起訴。
 再度の検察審査会でまた不起訴不当。起訴相当。
 それで自動的に強制起訴になったとしても、どうせまた無罪でしょうね。
 強制起訴で有罪になった例なんて、ほとんどありませんから。これまでに8件中2件だけ。明石花火大会歩道橋事故やJR福知山線脱線事故、やっぱり小沢一郎さんのような大きな事件になると、まず刑事責任が問えずに終わっています。
 検察審査会って意味があるのでしょうか。
 市民感覚では刑事裁判ができないことを物語っています。

小沢一郎「無罪だったけど、なにか!?」


最高裁が裁判員を裁く!
 そういえば、裁判員裁判で下った判決の量刑が重すぎるとして、この判決を破棄し、自判することがありました。ちょうど1週間前、7月24日のことになります。
 両親が1歳の娘の頭を殴ったり、床に打ち付けるなどの暴行を加えて死なせた傷害致死罪に問われた事件。求刑懲役10年に対して、1.5倍の懲役15年の判決が下ったもの。これを最高裁は、父親を懲役10年、母親を懲役8年としました。量刑の公平性からすれば、それが判例に従った〝相場〟なのでしょうけど。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20140724-OYT1T50078.html
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG24H0J_U4A720C1000000/

 市民参加による司法への市民感覚の導入なんて、できないことを指し示している。
 裁判所の判決が軽すぎないか、裁判所に一般常識がないのではないか、そんな議論が裁判員制度導入を後押ししたはずでした。
 だけど、市民の自由な裁量で人を裁くことなんてできないことを示しちゃった。
 かつての判例、量刑の範囲内で裁判をするのなら、市民が参加する必要なんてないはずです。
 参加したところで、裁判所や司法官僚のいいなり。

 もう、これでわかったでしょう。
 裁判員制度の導入の本当の目的。その正体。
 導入の前から、量刑の公平性の問題も含めて、指摘していたのに。


裁判員Xの悲劇『裁判員Xの悲劇 最後に裁かれるのは誰か』
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?code=214900


裁判員制度の目的とは……
 裁判員制度の目的は、国民の意識改革が目的。
 統治客体意識からの脱却。20世紀の終わりからはじまった一連の規制改革、言い換えれば米国型の社会構造に転換するための国民の意識改革。「お上」(おかみ)がなにでもやってやってくれるという、意識を変える。自己責任型社会を構築するための教育の場所。それが裁判員制度。
 裁判の結果よりも、裁判所に引き込むことが大事。
 市民感覚の導入なんて意味がない。本当に市民感覚を持ち込みたいのなら、民事裁判でも裁判員制度を導入すればいい。
(だけど、それもできない。だって、行政訴訟にでもなれば、国にとって不利になっちゃう可能性が高いから。いまなら、原発再稼働問題で裁判員が民事参加していたら、どうなっちゃっていたんだろう……。)

 まあ、最後は「お上」(最高裁判所)の許す範疇でないと判決を認めないとなると、これまた意味をなさなくなるでしょうけど。
 検察審査会にしても裁判員制度にしても、司法の市民参加なんて、これから形骸化していくのでしょう。




 結局、裁判員の量刑判断も最高裁によって裁かれちゃった。
 本当に裁判員にとっての悲劇かも。

裁判員Xの悲劇
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?code=214900


プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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