白いものが黒くなる現場 日大アメフト部とカルト

「確かに私も長いサラリーマン生活の中で、ある種マインドコントロールされてきて、研修という名の下に缶詰になって出てきた段階では、死ぬほど会社のために頑張るぞ! ってなる。そういうことも経験してますから、いま彼たちに接している中で、理解できるんですね。赤いものも白、白いものも黒、そう言われても、そのとおりなるんだ、そういうふうな人間になってしまうんだ」
 例えば、財務省の文書改竄、イラク日報問題、大学アメフト部の悪質タックル  白いものが黒くなる現場は、いまだってある。


 これは昨日5月29日に発売になった『サンデー毎日』に、ぼくが寄稿した原稿の一文です。同誌の「平成Climax」という企画で、オウム事件を振り返る連載企画の最終回(全7回)でした。
 コメントしているのは、かつてのオウム真理教被害者の会(現・家族の会)の会長だった永岡弘行さんです。その中の「彼ら」とはオウム事件の犯罪者たちのこと。ご自身の体験と教団の体質を比べて、語られたものでした。
 これを受けて、20数年前の事件ばかりでなく、いまでもの同様のことはある、と書いています。

 そして、この雑誌が発売になった同日。

 麻生太郎財務大臣が午前の衆議院財務金融委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書の改竄について、こう答弁していました。
「書き換えられた文書の内容を見る限り、少なくともバツをマルにしたとか、白を黒にしたとかいうような、いわゆる改竄といった悪質なものではないのではないか」
 さすがにこれはバツが悪いと思ったのか、午後の参議院財政金融委員会では、
「白を白に変えてもダメな時はダメ」
 と、釈明しています。
 なにをおっしゃりたいのかよくわかりませんが、手を加える必要のない決裁文書に手を加えた段階で白を黒くしてしまったようにしか、ぼくには思えません。

https://mainichi.jp/articles/20180530/k00/00m/040/062000c
https://www.asahi.com/articles/ASL5Y41RJL5YULFA00C.html
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018052900359&g=pol


 そして、その日の夜。
 日本大学アメリカンフットボール部の選手による悪質タックルを巡る問題で、日大の所属する関東学生アメリカンフットボール連盟が記者会見し、反則を犯してまでのタックルは内田正人前監督と井上奨前コーチの指示だったと認定し、処分を発表しています。
 公表された認定事実の中には、こんなものまでありました。
「コーチたちは皆、内田監督を恐れ、自分の指導者信念を曲げてでも監督に盲従しました。白いものは、内田さんが黒と言えば黒なんだ、と公言するコーチもいました」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180530/k10011457701000.html
http://www.sanspo.com/sports/news/20180529/spo18052922220025-n1.html

https://thepage.jp/detail/20180530-00000002-wordleaf?pattern=3&utm_expid=90592221-90.6ffTeJrBQdKRMSx9xTo1AA.3&utm_referrer=https%3A%2F%2Fthepage.jp%2Fdetail%2F20180530-00000005-wordleaf%3Fpattern%3D3


 本当に〝白いものが黒くなる現場〟でしたね。
 偶然とは言え、指摘した事例から同じ言葉が出てくることには驚かされました。

 日大アメフト部の悪質タックルは、当該選手の会見を見たときから、その構図が地下鉄サリン事件といっしょのように思っていました。

 サリンを撒け、と言われて迷いながらやっちゃった。
 相手を潰せ、と言われて迷いながらやっちゃった。
 これは修行だ、とグルは言う。
 これは選手を育てるためだ、と監督は言う。
 これは上からの指示だからね、と伝える村井。
 監督に聞いたら……、と伝えるコーチ。
 法廷で号泣する実行役。
 退場処分後に泣いた当該選手。
 そこに横たわる「盲信」と「盲従」。

「およそ師を誤るほど不幸なことはなく、この意味において、被告人もまた、不幸かつ不運であったと言える」(地下鉄サリン事件で8人を殺害した林泰男死刑囚の一審判決文より)

 宗教に詳しいフォトジャーナリストの藤田庄市さんは、かつてこう語っていました。
「人の不安を煽って強迫する。そして財産や場合によっては身体までも差し出させる。これはもはやカルト」
 その指摘をぼくは支持します。
 当該選手は、練習や試合に出してもらえない不安を煽られ、身体を差し出して反則を犯しました。
 もはやこれもカルトでしょう。
 でも、そんな現場ならまだまだあるのではないでしょうか。

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プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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