大バカ報道! そこまでやるか!?

大バカ記事、発見!
 こんな見出しの記事が、今朝のある朝刊に載っていました。

 漂う厭世観……オウムに類似
 イスラム国「戦闘員志願」事件
 知的水準高い人 自己実現行き詰まり

 ISIS(日本でいうところの「イスラム国」)とオウムを同列に並べたいらしい。
 もっと正確にいえば、ISISに加わろうとした若者と、オウム真理教に入信した若者たちの心理に共通点を発見したつもりらしい。
 この新聞記事はこうある。

 特別な思想信条を持たない若者が次々と引き付けられ、過激な行為を志向するという点で、地下鉄サリン事件(平成7年)などを起こしたオウム真理教に入信した若者との類似性を指摘する声も多い。


 いったい誰がそんな声を挙げているのか、それすら判然としないのだけれど、

 はっきり言って、
 そんなことを言う奴らは大バカだと思う。

 根本が間違っている。

 ISISは、周知の通り武装組織。それが建国を宣言して特定地域を実行支配している。
 そこに参加しようとした日本人男性も、最初から破壊活動に参画することを目指していた。理解していたというより、はっきり望んでいた。
 翻ってオウム真理教。いまでこそ死刑が確定している元信者たちは、地下鉄サリン事件などのテロ行為や破壊行為を望んで、入信していったワケではない。
 むしろ、ヨーガを通して身体機能や健康を回復しようしたり、精神的な自己変革を望んだ、第4次宗教ブームや新新宗教と呼ばれる時代の産物。あえていうなれば、自己啓発セミナーに近い。自己開発的な組織。
 まして、そこが武装組織だなんて誰も思ってなかった。(それが変容していくところに、この組織の恐ろしさと滑稽さがある。)

 自ら望む理想郷を創ろうとした点では同じかも知れないけれど、「特別な思想信条を持たない」とか「過激な行為を志向する」ところに若者の入信動機を求めるのは、明らかにおかしい。
 「戦闘員志願」で入信なんてしてない。
 もう初見から見誤っている。誤報を犯している。

 ありきたりな言葉だけど、社会的な閉塞感を打破しようだとか、将来への不安から抜け出そうとして、別世界に飛び込むのなら、
 オウムに限らず宗教に走る若者や、日本から海外に飛び出していく人たちにこそ、類似性を提唱すべき。

 ISISに飛び込もうとした男性が北海道大学の学生だったことだけを捉えて、
 地下鉄サリン事件を実行した連中が高学歴者だったことと並び立てるのは、あまりにも短絡的で、愚の骨頂。
 ただのバカだ!

 こんなことを平気で書き立てたり、発言するから、新聞やメディアの信用も落ちていくのでしょう。朝日新聞の昨今の諸問題を批判できませんよ!
 いったい、過去の取材の積み重ねって、なんなんだろう。調査報道の根幹を否定している。


それよりは〝通り魔〟に類似
 自己の行き詰まりから破壊活動や無差別殺害行為に走ろうというのなら、むしろ通り魔事件と呼ばれるものに近い。
 池袋通り魔事件や秋葉原通り魔事件と呼ばれるものに。
 上述の北大生も、就職に失敗した境遇を持ち、「日本にいてもどうせ数年後には自殺する」と発言をしているが、
 世界を否定しようとする攻撃性が内面に向かうか、それとも外面に放出されるかによる違いが、
 もっと言えば、そこに自責的より他責的傾向  自分は悪くない、みんな周りが悪いんだ、とばかりに環境や他者に不遇の根源を転嫁する性質  が強い人格が、自殺よりも通り魔という無差別的殺害事件に及ぶ。
 ただ、通り魔という単独行為を犯すには、相当のエネルギーが要る。犯罪行為であるというだけに良心の呵責による疲弊もつきまとう。(だから、実行に移さない人のほうが多い。)
 そこに、たまたまISISという便利な装置があった。破壊行為を正当化する別世界があった。だったら、これを利用しよう。そう考える。それだけのことのように思う。
 いくら理屈を並べ立てて心因を探ろうとしてみたところで、少なからず現状に不満を抱いている輩は(かく言う吾輩も含めて老若男女)いるのだから。

 もっとも、こんな浅はかな風潮しか唱えられない現実社会からは、抜け出したくなる気持ちもわからなくはないけれど。


※オウムとその時代と変身譚についてはこちらに書いています!
文春ジブリ文庫『紅の豚』
http://bunshun.jp/bunko/ghibli/kyokasho/kurenai.html

※通り魔事件についてはこちらが詳しいです!
池袋通り魔との往復書簡
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_4094026967


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プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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