安保法案成立と日本の敗戦と反日教育〝9.18〟

安保法案成立に見る日本の敗戦
 安全保障関連法案成立。
 それまで、法案に反対の野党は「牛タン戦術」やらで、延々と演説をぶって時間を引き延ばすことに苦心していたけれど。独り牛歩戦術なんていう議員さんもいたな。最大野党の党首は「なんとしても廃案に持ち込む」と公言もしていた。
 でも結局、成立。
 その有様は、まるで70年前の日本の敗戦といっしょ。
 戦争を引き延ばすだけ引き延ばして結局、敗戦。圧倒的な物量の前に敗色濃厚な戦況の中で、「なんとしても勝つ」と言い張って、抵抗を試みるも敗戦。時間稼ぎで結局、国民を苦しめた日本の軍隊。
 今回の法案を「戦争法案」と呼んだ人がいたが、その戦争の悲惨さを本当にわかっているのかな。
 日本の敗因のひとつは、ストラテジーの欠如。数で不利なことは、法案提出時からわかっていたこと。論争を挑むことも大切だけど、「なんとしても……」というのなら、そこに戦略を持つべきだった。終盤になって空気に便乗したようにようやくいろんな人が騒ぎ出した国会周辺デモといっしょになって、神風でも吹くと思っていたのか。
 政権与党にしても、圧倒的多数で押し来ちゃったところは、原爆を落としてでも戦争に圧勝して正当化する、米軍の姿に重なる。
 成立直前にはNHKでさえ「最大のヤマ場です」と報じていた。時間を労して粛々と可決に向かうプロセスを、そう伝えるところは煽りにしか見えない。
 終わってみれば、70年前の出来事を繰り返し見せつけられているようで、嫌な気分になる。
 日本の体験した戦争の不幸を理解しているのかどうか。


この夏ぼくが訪ねた場所
 因みに、可決の日付は越しちゃったけど、法案成立のかかった9月18日というのは中国の反日教育にとって重要な日。
 すなわち、満州事変が勃発した日。
 この日を江沢民は最大限に利用して、反日教育を強化しました。
 その証拠が以下の写真。この夏にぼく訪ねた場所です。

『勿忘〝九・一八〟』

 かつての満州国の首都・新京と呼ばれた長春には、愛新覚羅溥儀の皇宮がいまも残っています。

溥儀皇宮① 溥儀皇宮② 溥儀皇宮③ 溥儀皇宮④ 溥儀皇宮⑤

 その中心の建物の前に堂々とおかれた江沢民直筆による石碑。
 『勿忘〝九・一八〟 江沢民』 9月18日を忘れるなかれ

勿忘〝九・一八〟江沢民


 かつての皇宮は「長春溥儀研究会/偽満皇宮博物院」と呼ばれる施設の中にあり、皇宮そのものは「偽満州国皇宮」と称されています。

偽満皇宮博物院 偽満州国皇宮

 その脇に、江沢民が建てたいわばこの地域(東北部)で起きたことを伝える……といようより、反日教育資料館のような建物があります。

侵略資料館 資料館前言 〝資料館〟外観


 中国共産党が存在意義を正当化させるために、それだけ力を込める反日教育の起点となる場所。
 その起点となる9月18日。

 これが偶然なのか、それとも歴史の悪戯なのか。
 当事者が意識しないうちに、いろんなことが重なっていますね。

(※写真はいずれもクリックすると拡大します!)

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プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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