ここまでやるか!? 産経新聞の虚報と偏向報道の実態!

産経新聞の1面記事の虚報

 これは、先月28日の産経新聞の1面に掲載されていた記事です。
 ネット上に掲載されていたので、転載します。

【福島第1原発事故 5年目の真実(5)】
http://www.sankei.com/affairs/news/160228/afr1602280008-n1.html

 ここに、福島県での小児甲状腺がんの調査と結果について、こういう記述があります。

 放射線は、それほど危険なレベルだったのか。
 原発事故では、飛散した放射性ヨウ素を甲状腺に取り込むことで発症する子供のがんが懸念される。このため福島県は18歳以下の38万人を対象に検診を実施。167人を甲状腺がん(疑いを含む)と診断したが、「事故の影響は考えにくい」との見解を示した。


 この記事には明らかに誤りがあります。誤報です。

「38万人」へ「検診を実施」してはいません。もっと、少ない対象人数から「167人」の甲状腺がん(疑いも含む)が見つかっているのです。

 同県の甲状腺検査は、「先行調査」と呼ばれる1巡目の検査が2014年3月末までに終わって、同年4月から「本格調査」とされる2巡目に入っています。

 この1巡目で検査を受けたのが、300476人。
 事故当時18歳以下だった調査対象者(正確には、平成4年4月2日から平成23年4月1日までに生まれた人)は367685人。受診率は81.7%。

 2巡目の検査では、事故後1年の間に生まれた子ども(平成23年4月2日から平成24年4月1日までに生まれた福島県民)も含めて、調査対象者を381261人としていますが、2015年12月31日までに実際に受診したのは236595人です。受診率は62.1%です。

 おそらくは、2巡目の調査対象者の「38万人」からひっぱってきたのかもしれませんが、実際に検診を受けている人数ではありません。数万、十数万単位の違いがあります。

 明らかに水増し報道です。虚偽の報道です。

 因みに、
 1巡目で甲状腺がん(疑いも含む)とされた子どもが116人。
 2巡目では51人。短時間でそれだけ増えています。

 さらに、記事はこう続きます。

 一般に子供の甲状腺がんは100万人当たり1~3人とされ、福島の発生率は大幅に高いように見える。しかし、国立がん研究センターの津金昌一郎・社会と健康研究センター長は「放射線の影響よりも過剰診断による多発の可能性が高い」とみる。
 甲状腺がんは進行が遅く、治療が不要なケースも多い。厳密すぎる検査をした結果、治療が不要なものや、通常は見つからない小さながんまで症例として報告されたためという。


 過剰診断は、福島県が否定しています。
 昨年8月31日に開かれた第20回「県民健康調査」検討委員会に、「手術の適応症例について」という文書が提出されています。
 文書の作成者は、鈴木眞一福島県立医科大学附属病院甲状腺内分泌外科部長です。
 この中で、2015年3月31日までに、外科手術を施行した104例中97名が福島医大甲状腺内分泌外科で実施され、そのうち1例は術後良性結節でしたが、残りの96例につき検討した結果、
「術後病理診断では、(中略)リンパ節転移、甲状腺外浸潤、遠隔転移のないものは8例(8%)であった」
 としています。つまり、症例の92%はがんの「転移」や「浸潤」があった、というのです!
 もうこの時点で、治療が必要であることは間違いがなく、過剰診断は否定されています。

 むしろ、過剰診断だとしたら、それこそ、切らなくてもいい甲状腺を切っていたことになります。
 すでに昨年末までに甲状腺がんとされた117人の子どもたちが切除手術を受けているのですから、大問題です。
 それこそ、新聞が取り上げるべきものでしょう。


「ウチは原発推進派だから」

 以前に、同紙から「取り上げる内容はなんでもよい」といわれて書いたぼくのコラムが、「ウチは原発推進派だから」とはっきり言われ、掲載を見送ったことがあります。
 その前に書いたものは、「ウチはTPP賛成派だから」という理由で、ボツにされました。

 そのことは、このブログでも書きました!以下に詳しいです。
http://aonumazezehihi.blog.fc2.com/blog-entry-122.html

 いくら原発推進派とはいえ、ここまで嘘を書いたり、偏向した報道をするものでしょうか。

 ぼくには、「38万人」という数字も、意図的に水増ししているように見える。
 それで、甲状腺がんの発症は少ない、と読者に思い込ませようとしているように見える。

 朝日新聞を攻めるどころか、まるで戦時中の新聞のようです。


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プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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