【個人史】真田丸とアオヌマと仙台と静馬と水泳教室

『真田丸』に思うこと

 昔から自己紹介をして「あおぬま……」と名乗ると、

「え!? 〝アオヌマ〟っていう苗字の人って、ホントに居たんだ!」
「〝アオヌマ〟っていえば、青沼静馬しか知らなかった!」
「架空の名前だと思っていた!」

 よく、そんなことを言われました。
 青沼静馬といえば、角川映画の記念すべき第1作ともなった横溝正史の小説『犬神家の一族』の登場人物です。
 当時の映画のポスターにも哀れな格好で写し出されています。

 小説や映画の舞台となったのは長野県です。
 ぼくの出生地といっしょです。
 だから、長野には他にも「青沼」という苗字の人はいました。
 聞き及んだところによると「青沼」という名前は、武田信玄で知られる武田家に通じているようで、長野にそういう苗字の人がいてもおかしくはないな、とは思っていました。

 ところが、あるとき長野の出身でない「青沼」という人と遭遇したことがありました。
 仙台の人でした。
 たまたま乗車した東京のタクシーの運転手さんの乗務員証を見て、てっきり長野の出身と思って話かけると、違いました。
「仙台には、〝アオヌマ〟っていう人は、けっこう居ますよ」
 そう言われて、また驚きました。

 さて、NHK大河ドラマ『真田丸』もいよいよ大詰め。
 最終回でその場面がやって来るかと思っていましたが、その前に決着してしまいました。
 大阪夏の陣で討ち死にする真田幸村の子どもたちは仙台の伊達家に引き取られていきます。
 なるほど、そこから〝アオヌマ〟が仙台に流れて行ってもおかしくはない。
 武田と真田と伊達。長野と仙台を結ぶ点と線。

 そう言えば、ぼくは高校時代に水泳で全国大会に出ていますが、その水泳をはじめたのは幼稚園で仲の良かった〝アベ〟くんという人が、水泳教室(当時は「スイミングスクール」なんて横文字は使っていませんでした)に通いはじめたことがきっかけでした。
 ところが、同じ教室に通いはじめてすぐに、アベくんはお父さんの仕事の関係で仙台に引っ越して行ってしまった。それで生まれてはじめて仙台という地名を知りました。
 その後、小学校に入学して席順の関係で最初に仲良くなったのが〝信之〟くんでした。
 いまにして思うと、嘘のような本当の話です。

 因みに、大島にも〝アオヌマ〟という人は多いそうです。
 当地に赴任していた警視庁の職員さんから聞きました。
 こちらは、ひょっとすると……。

 いずれにしても、筋を通した生き方はしたいですね。


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プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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