寂しいような、嬉しい話 〜お祝いのメッセージに代えて

 昨夜、久しぶりに大学時代の友人と電話で会話した内容のあらましです。

友人「昨日、今日とな、上の息子がセンター試験やったんや」

小生「ほう。もうそんな年になったか」

友人「それが前日に熱を出して大騒ぎして……」

小生「それで、結果はどうだったんだ?」

友人「数学を失敗したと言っとったぞ」

小生「国立志望なのか? どこを狙っているんだ?」

友人「それは言えない」

小生「どうして?」

友人「いや、もしものことを考えると……」

 それが親心というものなのでしょうか。それにしても、いい歳になったものです。

友人「ところで、W(※実名ファーストネーム)から結婚の報告はあったか?」

小生「ない」

 Wくんは、高校時代にいっしょに水泳をしていた後輩で、いまは役者をしています。
 大学時代にこの友人に紹介してから、共通の知り合いになっています。
 このWくんが結婚したという情報は、昨秋この友人から伝えられました。
 ところが、本人からその報告がない。

小生「巨人の坂本もテレビで怒っていたらしいな。岡本が結婚したのに、村田や長野には電話があって、俺や実松さんには挨拶がない、って。結婚の報告って、やっぱり大事なのかな。坂本の気持ちもわかる気がする」

友人「なんで、お前に報告ないんかな」

小生「そう言えば、年賀状は来てた。そこに和装のあいつと女性が並んで座っている写真があって、『結婚しました』って書いてあった」

友人「え? それだけ?」

小生「六分儀ゲンドウ、か!? と思ったよ」

友人「なんだ?」

小生「エヴァ、観てないのか?」

友人「テレビ版だろ? そんなシーンあったか?」

小生「ファーストインパクト後の南極海の洋上で、結婚して苗字が〝碇〟に変わりました、って葉書を差し出して報告するシーン」

友人「そんなんあったかな……」

小生「あいつとは、毎年会ってたんだけど、一昨年だったかな。引っ越したと言うから、事情を聞いたら、女の人と暮らしはじめたと言っていた。それがあいつに会った最後だったな」

友人「え? 同棲してたんか」

小生「普通に会社勤めしている一般の女性だと聞いたけど」

友人「だから、お前に紹介したくないんちゃう?」

小生「それと結婚の報告は違うだろ。いっしょに暮らすのと入籍も違う」

友人「それはそやな」

小生「なんだか、祝う気も失せたわ……」

友人「ちょっと、酷いな」

小生「だけどな、考えようによっては、報告がないのは、いいことかも知れない」

友人「なんで?」

小生「つまり、他の人間にはかまっていられない、ふたりだけの世界ができたということだよ。お互いのことを考えるだけで、いっぱい、いっぱい。そこに俺のことを相手にする余地もない」

友人「ああ、幸せってことか」

小生「独りじゃなくなった、ということだよ」

友人「まあ、なぁ……」

小生「あいつも、向こうの世界にいったか……」

友人「向こうの世界?」

小生「誰も立ち入ることのできないふたりの世界。入る必要もない別世界」

友人「そういうことか……」

小生「そう思うと、嬉しくもあるけどな」

友人「フン!……(鼻で笑う)」

小生「そういえば、あいつ、『シン・ゴジラ』にも出てたしな」

友人「ああ、らしいな」

小生「観た?」

友人「観たけど、気付かんかった」

小生「テレビでも、松本潤の主演のドラマにも出てて、榮倉奈々にプロレス技かけられてた」

友人「そういえばさ、スター・ウォーズの新しいの観た?」

小生「スピンオフのやつだろ?」

友人「ディズニーの商魂の逞しさなんやけど、そこにレイア姫が出ててな……」

小生「ああ、レイア姫も死んじゃったな」

友人「死んだ、死んだ。あれ、あのすぐあと母ちゃんも死んだだろ」

小生「死んでた!」

友人「それでな……」

 たわいもないふたりの会話は続くのであった。

 お幸せに。

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プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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