『侵略する豚』1年3か月の連載が終了しました。

 1年以上に亘ったウェブマガジンの連載が今月で終了しました。
 毎週更新で全57回。
 途中で編集担当者が、あまりにも信じ難い〝大ボケ〟を連発して(それは誰に話しても驚かれる内容のものでした)機能しなくなり、連載が一次中断したこともありましたが、編集部による担当者交替という異例の措置で継続しました。ありがとうございました。


小学館|BOOK PEOPLE
http://bp.shogakukan.co.jp/
『侵略する豚』〜日本の食肉とTPP〜
http://bp.shogakukan.co.jp/pork/vol57.html


 連載のサブタイトルには「日本の食肉とTPP」とあります。TPPの発効によって圧迫される日本の畜産と、20数年前には豚肉の純輸入国だった米国が世界第1位の豚肉輸出国に急成長を遂げたその戦略の逞しさを語るつもりでしたが、連載を開始した時点でまさかドナルド・トランプが大統領になって、TPPが瓦解するとは思ってもみませんでした。いまトランプはTPPで輸出が増進したはずの国内の食肉業界、農業団体から突き上げを食らっています。TPP大筋合意後の記者会見で「TPPは国家百年の計」と語っていた日本の首相、「意思表示をすることが大事」として批准承認決議をした国権の最高機関である日本の国会も面目がありません。1年の連載を通してみても、米国によって振り回される日本の国情と先行きが不透明な世界の状況がよくわかります。

 連載の第1回は「桜田門外の変」でした。大老井伊直弼を水戸と薩摩の脱藩藩士が襲撃した、開国から明治維新へ向かうきっかけとなった事件。その背景に、井伊家から水戸家に牛肉を送らなくなった恨みがある……。井伊家の彦根藩は江戸時代に牛の屠畜が認められていた唯一の藩でした。それと薩摩藩は江戸の上屋敷で豚を飼っていたほど、豚肉を好んで食べていました。この豚肉が大好きで、薩摩に督促して困らせていたのが、維新の朝敵となる一橋慶喜です。どうも黒船の来港から幕末の裏面史には食肉が絡む……というお話からのスタートでした。
 その井伊家の彦根藩誕生の布石を描いているのが、今年のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』。そして来年の大河ドラマが『西郷どん』。2年続けて江戸時代の食肉に関する藩が舞台の奇遇。そこを独り善がりに喜んでいたら、このウェブマガジン連載終了と同時に、「週刊文春」が漫画の連載を開始。そのタイトルも『幕末 桜田門外の変』だったのには、ちょっと驚きました。
 いまこの連載を見返してみると、また違った歴史が見えてくるかもしれません。

 意味のある連載だったと思っています。
 よかったら、目を通してみてください。
 いま読み返しても違ったまた価値観が浮かんでくるはずです。

http://bp.shogakukan.co.jp/
http://bp.shogakukan.co.jp/pork/vol1.html
http://bp.shogakukan.co.jp/pork/vol57.html

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プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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