読売新聞が死んだのなら朝日新聞は自殺している

 朝日新聞が支える『HUFFPOST』に掲載された以下の寄稿。グーグル・ニュースにも転載されていました。
 読売新聞の前川喜平前文部科学省事務次官「出会い系バー」通いの〝スクープ〟について論評しています。

読売新聞は死んだに等しい
http://www.huffingtonpost.jp/nobuo-gohara/yomiuri-shimbun-is-dead_b_16950996.html

 読売新聞の記事掲載における分析はよいとしても、最後の評価が間違っている。と、いうより、おかしい。すなわち、以下の評論。

かつて、TBSのスタッフがオウム真理教幹部に坂本弁護士のインタビュービデオを見せたことが同弁護士一家の殺害につながった問題で、TBSは、情報源の秘匿というジャーナリズムの原則に反し、報道倫理を大きく逸脱するものとして批判された。この問題に関して、当時、TBSの夜の看板報道番組『NEWS23』のキャスターを務めていた筑紫哲也氏が、同番組で「TBSは今日、死んだに等しいと思います。」と発言した。

もはや「言論機関」とは到底言えない、単なる"政権の広報機関"になり下がってしまった読売新聞の今回の不祥事は、オウム真理教事件でのTBSの問題以上に、深刻かつ重大である。


そのような状況の中で、逆に、国家権力に加担する方向で、倫理を逸脱した報道を行うことを厭わない巨大新聞が存在することは、日本社会にとって極めて危険だ。それは、凶悪・重大な事件を引き起こして日本社会に脅威を与えたオウム真理教に「結果的に加担してしまった」かつてのTBSの比ではない。


 オウム真理教事件では、坂本弁護士一家の3人が殺害されています。
 実際に人間の命が奪われているのですよ!
 かたや読売新聞は政権と結託したかのような前事務次官の出会い系バー通いのあくまで個人に関する記事。

〈読売新聞の今回の不祥事は、オウム真理教事件でのTBSの問題以上に、深刻かつ重大である。〉
〈かつてのTBSの比ではない。〉
 そんなはずはないでしょう!
 執筆は弁護士にして元検事。
 朝日新聞系のこのサイトは、いったいどういう感覚でこのこんな論評を掲載公開しているのでしょうか!?
 グーグルもしかり。
 人の命に関わる、いや、実際に奪われた事件をどう考えているのでしょうか!?

 さらに言及しておくと、文中にある筑紫哲也の言葉。
「TBSは今日、死んだに等しいと思います。」
 この発言は事件当事者の遺族を深く傷つけた。
 現実に家族が死んでいるのに、テレビ画面でのうのうと「死んだ」と言い放つ。だが、TBSは存続している。筑紫哲也も同局のキャスターを降板しようともせずに居座った。なにも変わっていない。ただその場しのぎのパフォーマンスのように「死んだ」と言われた。そのことが遺族を憤らせ、苦しめた。決して、立派な発言でもなんでもない。(このことは新潮社から刊行された『都子、聞こえますか オウム坂本一家殺害事件・父親の手記』に書かれています。)

 もはやこの原稿の感覚、解釈はずれている。不適切です。
 読売新聞の記事にしても、この論評記事にしても、どこか人の血の通ったものではない。

 読売新聞の掲載記事を批判する前に、よくこうした記事が掲載できたものだと驚くと同時に、この記事に「いいね」を付けている人たちがいることはもはや衝撃です。

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プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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