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『オウム事件真相究明の会』の目的は、真相を破壊することにある! という証拠

ラジオ放送で流れた〝嘘〟
 どうして、こうもぬけぬけと嘘がいえるのでしょう。

「オウム事件真相究明の会」の呼び掛け人のひとり(と、いうより中心人物だと思われます)の森達也という人が、やはり同会の賛同人のひとりである津田大介(肩書きは「ジャーナリスト」になっています)のラジオ番組に出演して、同会の発足の狙いなどを語ったそうです。
 今週の月曜日のことでした。
 J-WAVE の「JAM THE WORLD」という番組です。

http://www.j-wave.co.jp/special/program/2nd/weekday01.html#jam


 その録音を知人から提供してもらって、聞いてみました。
 本当にびっくりしました!

 津田大介が「麻原裁判が一審で終わったのは、弁護側の法廷戦術が原因でないのか」「弁護人が裁判所から控訴趣意書を求められたのに締め切りまでに出さなかったため一審で終了せざるを得なかったのではないか」と指摘したところ、森達也がこう答えていたのです!

【あの〜、それ、正確じゃないですね。まず、控訴趣意書ってのは要するに被告人が控訴をするという意思を示すための書類なんですよね。で、二審弁護団が麻原ともコミュニケーションができないと。会話どころかもう普通のもうコミュニケーションもできないということで、控訴趣意書が作れませんと、だから精神鑑定をやって治療してください、ということをお願いしたわけです。でも法廷はそれを聞き入れない。で、最終的には控訴趣意書を出さないことには裁判打ち切りとそうしたような状況が目の前に迫ってきたので、弁護団も渋々じゃ出しますと、いうことで裁判所と裁判官たちと何月何日に出しますよと約束をして、その控訴趣意書を出す前日に裁判所がいきなり控訴棄却を発表したワケです。不意打ちです。で、その結果として二審が行われなくなったわけで。】

 これこそ、正確ではありません。デタラメです!嘘です!

 まず、控訴するには、判決から14日以内に高等裁判所あての申立書を、判決を言い渡した裁判所に提出しなければなりません。そのことは、判決のあとに裁判長が必ず言い渡します。
 2004年2月27日、東京地方裁判所で死刑判決を言い渡された麻原彰晃こと松本智津夫は、その日のうちに控訴の手続きをとっています。即日控訴です。その段階で、控訴の意思を示しています。
 その上で、高等裁判所が定める期間内に、判決に不服の理由を記載した「控訴趣意書」を提出しなければなりません。判決の不服、言い換えれば控訴審での争点を記したものです。
 東京高等裁判所は、麻原の「控訴趣意書」の提出期限を、判決からおよそ10ヶ月もあとの2005年1月11日としました。
 ところが、弁護側は「被告人との意思の疎通がはかれない」ことを理由に、この期限までに「控訴趣意書」を提出しませんでした。
 そこで裁判所は、提出期限を延期し、同年8月31日に再設定します。異例の対応です。
 この時、高等裁判所の担当の裁判長や裁判官は、弁護人の主張を確かめるために、麻原との接見に出向き、そこで意思疎通ははかれるものと判断しています。
 そして、2回目の提出期限が来た8月31日。
 弁護側は「心神喪失の状態」で「訴訟能力がない」と主張して、控訴趣意書の提出を拒んだのです。
 ここで問題になるのは、この日に弁護側はちゃんと「控訴趣意書」を作成して持参してきたこと。それを裁判官たちに見せつけながら、あくまで「審理停止」「治療専念」を主張したまま、弁護側は「控訴趣意書」を持ち帰ってしまいました。ここで提出していれば、そのまま二審ははじまっていたはずでした。
 それどころか、その後も弁護側は複数の精神科医に麻原と接見させるなどして、主張の正しいことを証明しようとしました。
 それならばと、事犯の大きさも鑑み、東京高等裁判所は独自で精神鑑定を実施します。
 そして、2回目の提出期限から半年が過ぎた2006年3月、東京高裁に「被告人には訴訟能力がある」という鑑定結果が報告されます。
 これに慌てた弁護側が、東京高裁に「控訴趣意書」提出の意思を伝え、何月何日まで待ってくれ、と申し出ました。
 ですが、期限がすぎてからの提出である場合は、控訴棄却の決定がなされることが刑事訴訟法に定められています。(刑事訴訟法386条1項1号)
 そこで正式な手続きを踏んで、東京高裁が控訴棄却の決定を下したのが、たまたま弁護側が待ってくれと申し出た期日前日の3月27日でした。

 森達也のいう「弁護団も渋々じゃ出します」というのとは状況が違う。
「裁判所と裁判官たちと何月何日に出しますよと約束をして」というのも嘘。約束なんて最初からしていません。
「その控訴趣意書を出す前日に裁判所がいきなり控訴棄却を発表したワケです。不意打ちです」これまたデタラメ!
 よくもまあ、ここまで公共の電波にのせて嘘が言えたものです!

 これを素直に聞いていると、まるで悪いのは裁判所で、不当な手続きとった、麻原に対する弾圧のようにしか聞こえない。
 明らかに歪んでいる。作為すら感じる。

 この森達也の発言を、津田大介は「うーん」と唸って、聞き流していました。
 それも不味いでしょう!
 J-WAVEだって嘘を垂れ流していることになる。

 それで気が付きました。
「オウム事件真相究明の会」の目的は、こうやって嘘を世間に広めること。
 誤った情報を拡散すること。史実をねじ曲げること。人々を騙すこと。

 それも呼び掛け人が賛同人の番組に出て喧伝していく共犯関係にあります。
 しかも、津田大介はこの番組の月曜日の担当で、
 火曜日は同会の呼び掛け人の青木理が担当、
 木曜日は同会の賛同人の堀潤が担当とくれば、
 もはやラジオ局ぐるみ、番組ぐるみでリスナーを欺こうとしているとしか思えなくなる。

https://www.j-wave.co.jp/contents/timetable/contents.htm


〝嘘つき〟はいまにはじまったことではない!
 そもそも森達也の、嘘、歪曲、曲解、でっち上げ、剽窃はいまにはじまったことではありません。
 それも多岐に亘る。
 その最も酷いものが『A3』というオウム事件について書いた森達也の著作です。
 これが、あろうことか、2011年に講談社ノンフィクション賞を受賞してしまった。
 賞を受賞してしまうことで、いわば箔がつく。
 麻原彰晃がかつてダライ・ラマといっしょの写真を見せびらかせて信者を惹きつけたように、それが人々の心を動かす〝権威付け〟となる。
 多くの人たちが、この本に記載のあることは真実であると信じてしまう。
 後世の人々に誤った事実を伝えてしまう。歴史を歪めてしまう。
 こんなものはノンフィクションでもなんでもない。
 そこに危機感を持ったことから、滝本太郎さんと藤田庄市さんとぼくは連名で講談社に抗議文を送り、東京の司法記者クラブで会見を開いて問題点を指摘しました。
 その抗議文は、このブログの最初の記事に貼り付けてあります。このブログを立ち上げる原点ともなったものです。
 その抗議文と、それに関連する当ブログのいくつかの記事を読んでいただければ、いかにオウム事件について森達也が嘘を語っているか、よくわかるはずです。

http://aonumazezehihi.blog.fc2.com/blog-entry-1.html


破綻する論理と主張
 森達也はこのラジオ番組で「オウム事件真相究明の会」の呼び掛け人、賛同人もその『A3』を読んで、みんな裁判が酷いと言い出した、などと語っています。
 そして、地下鉄サリン事件は麻原の指示であり、その動機がわからないとして、最後にこう語っていました。

【麻原はちゃんと語ってないんだから。だからまずは彼の言葉を聞きたいし、動機を聞きたいし、なんであんなことをやったのかって言わせたいし……】

 これは講談社に送った抗議文の中にもしっかり、そして重要な点として指摘していることなのですが、
 森達也は自著『A3』の中ではっきり、麻原一審弁護団の主張した「弟子の暴走」論を支持しています。

 一審弁護団の「弟子の暴走」論は、文字通り弟子たちが勝手にやったこと、すなわち麻原は首謀者でもなければ、指示もしていないとして、無罪を主張したものです。
 これは明らかに判決の事実認定とは異なるものですが、森達也はこの「弟子の暴走」論を「同意」「確信」という言葉で表しています。

************
 連載初期の頃、一審弁護団が唱えた「弟子の暴走」論について、僕は(直観的な)同意を表明した。二年半にわたる連載を終える今、僕のこの直観は、ほぼ確信に変わっている。ただし弟子たちの暴走を促したのは麻原だ。勝手に暴走したわけではない、そして麻原が弟子たちの暴走を促した背景には、弟子たちによって際限なく注入され続けた情報によって駆動した危機意識があった。
************
 〜森達也『A3』485ページより

 麻原が首謀者でもなければ、指示も出していないのであれば、どうやって「動機」を聞き出すのでしょうか。
 そんなもの最初からあるはずないでしょう!

 もはや、あっちで言っていることと、こっちで言っていることの辻褄が合っていない。分裂している。破綻している。壊れている。

 呼び掛け人や賛同者が『A3』を読んだのなら、そこに気付くはずです。
 ところが、誰もその単純な矛盾点に気が付かない。

 津田大介のラジオ番組の発言をとっても、いまだに虚実を拡散しようとしている。
 当時の事件や裁判を知らない人たちに、誤った事実を教え、そのまま後世に伝えようとしている。
 歪んだ歴史を日本に残そうとしている。
 真相を壊そうと社会に働きかけ、運動している。

 「オウム事件真相究明の会」の目的はそこにある。

 呼び掛け人、賛同者に名を連ねた人たちも同罪です。「サリンを作っているとは知らなかった」では済まされなかった有罪確定者がオウム信者にいたことも、また真相なのですから。「知らなかった」とは、言わせません。
 いずれも軽蔑に値する。

 問題のラジオ番組は、J-WAVEのサイトから、1週間以内であれば無料で聞けるそうです。
 週末にでも、ご自身の耳で確かめてみてください。

https://www.j-wave.co.jp/today/timefree.html

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プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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