復刻!『青ちゃん新報』平田信初公判! 2014年1月16日(木)

復刻!青ちゃん新報電子版


平田信公判はじまる!!
 オウム裁判再開へ

 1月16日午前11時。東京地方裁判所第104号法廷で、元オウム信者にして特別手配犯だった平田信被告の初公判が開かれた。
 久しぶりのオウム裁判の再開。最後にこの104号法廷でオウム裁判を見たのも、麻原章晃こと松本智頭夫の死刑判決以来か……(最近では、この同じ法廷で小沢一郎元被告が無罪判決を受けたのを見聞したのが最後だった)。
 その同じ法廷で平田信被告が裁かれる。だが、以前とはまったく違う様相を呈していた。
 まず、被告弁護側と検察官の位置が違う。麻原裁判でも、小沢公判でも、傍聴席から見て右側が被告弁護側、左が検察側だったのに、左右が入れ替わっている。理由はよくわからない。
 そこに被告人が入って来た。逮捕時とはうって変わって頭は短く刈り込まれていて、細くて長い印象のカラダに……あ!ネクタイをしている!黒いスーツに、さわやかな水色のネクタイ!そう言えば小沢さんもこんなネクタイをしていたような、ホリエモンも同じネクタイだったな。水色が104号のブームなのかな……いずれにしても、拘留中の刑事被告人がネクタイ着用なんて、以前はなかったこと。そして、手錠を外されると、なんと弁護人と同じ席に並んで座るではないか!以前だったら、弁護人の前の被告席に着いたものを!
 と、いうのも、裁判員裁判がはじまってから、裁判員に予断を与えさせない為に、そうした措置がとられるようになった。同じ理由で、腰縄、手錠も裁判員が入廷する前に外される。
 そう、この裁判は裁判員によって裁かれる。かつてはなかった制度。言い換えれば、オウム事件がはじめて一般市民によって選ばれた裁判員によって、裁かれるのだ。どんな結末が待っているのか、そこにも注目が集まる。
 そして、そこに裁判員が入廷してきた。さあ、どんな裁判員の顔ぶれだろう……。あ!そこでまた驚かされた!


裁判の注目は、なんと言っても
〝女性〟だ!

平田信
ヒラタ被告 


 裁判員も若いと事件を知らない世代が混じることになるだろうから、どんな判断を示すのか、そこに注目だなあ〜なんて思っていたら、もっと違うことに驚かされた。
 女性ばかりだ。法衣を纏った3人の裁判官は全員が男性だったが、6人の裁判員のうち1人だけ男性で、あとの5人は全員が女性。
 しかも、後列に並んだ補充裁判員2名も女性なのだ。圧倒的に女性の占める割合が高い。
 う〜ん……これは、推測するにおよそ2ヶ月におよぶ裁判員としての拘束に、辞退する人たちが続出したことによるのでは?(辞退者が続出したことはちゃんとした新聞報道にあった。)2ヵ月も休みを取れる会社や、放っておける仕事も、そうはないだろう。いや、ここに並んだ人たちだって、仕事の都合をつけて尽力しているのかもしれないけれど、これだけ女性の比率が多いのも偶然だろうか。これも長期化する裁判員裁判の弊害か。
 いや、そればかりではなかった。
 実は、訴追する側の主任検事も女性ならば、被告人を弁護する側の主任弁護人もこれまた女性だったのである!それも、裁判員対応なのか、宝塚歌劇団のようなしゃべりで意見陳述をする弁護士さんで……。
 つまり、平田信を裁く……というより、オウム事件の最初の裁判員裁判は、メインキャストのほとんどが女性で埋め尽くされていることになる!
 まあ、よくよく考えてみると、男性ばかりで刑事裁判が進行してきたことも、これまたちょっとおかしなことだったのかも知れないけど。麻原裁判は12人の弁護団からはじまって男性ばかりだったしね。
 それにしても、これだけ女性が多いというのも特筆に値する。
 ここに死刑確定者(井上嘉浩、中川智正、林泰男)がやってくる異例の展開がまっているのだから。そう言えば、一審で井上に無期懲役の判決を書いたのも、確か女性の裁判官だったような……。ちょっと注目。


もっと、証拠を見せてくれ!

 その女性たちに見守られて、平田被告が罪状認否に立った。まあ、とりまとめていうと、仮谷事件については、共謀はなく幇助に留まること。爆弾事件については、無罪。火炎瓶事件については、起訴状の通り、争わない。そういうこと。
 それから早速証拠調べと証人尋問に。
 その証拠の中に、昭和63年2月にNHKが当時の宗教ブームを取り上げた『おはようジャーナル』という番組の中に、当時の井上嘉浩と平田信が映っている映像があったのに、なぜか法廷の大画面では上映せず。裁判員だけに開示。音声だけが法廷に響く。ちぇっ!見たかったのに。公判なんだから、もっと見せろよ!……と、言いたくなる。
 この日は、被害者仮谷清志さんの長男・仮谷実さんが出廷。拉致される4日前の状況から証言。仮谷清志さんの妹がオウムに出家を迫られ、全財産のお布施を求められていたことから、家族で相談をしたこと、誰かに尾行されていたこと、なにかあったら警察に相談するように手紙に残したこと、などを証言。
 そして最後に、被害者参加制度でこの裁判に臨んだことを問われると、こんなことを話していた。
「私も少し法律を学んだ人間として、罪を憎んで人を憎まず、ということを思っています。私の父も法律に携わり、同じ考えでした。平田被告は逃亡していても、十何年……17年か、事件に関与していたとしても17年間追われ続けているのは苦しいものがあるのでは。遺族という立場を除いても、私たち遺族と通じるものあるのでは。平田被告の出頭状況をみても、自ら出頭しないと逃げおおせるものと私も思っていた。その中で出頭してきた。償いの意識あったのかと認識している。平田被告から真実をすべて速やかに語られることを期待しています。和解金のそれ以上を求めるものでもない。名声を求めるものでもない。裁判をいたずらに引き延ばすでもない。ただ、真実を知りたい。それだけです」
 閉廷後、手錠をはめられ法廷を去る間際、平田被告は検察側の席に座った仮谷実さんと目をあわせ、そのまま小さく頭を下げていた。



(勝手な転用、引用、盗用を禁止します。特に森達也さん!)

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プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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