「茨城県産の魚は食べないほうがよい!」という論証

 来月で3年!『フクシマ カタストロフ』フクシマ世代

 茨城県産の魚は食べないほうがよい。
 茨城県の現地をまわって、漁業や卸しの関係者の方たちが、いまでもとても苦しんでいる様は、よく理解していますし、応援もしたいのですが、残念ながらいまの状況では、そういう結論に達せざるを得ない。その理由です。
 チェルノブイリ原発事故のあと、周辺住民の内部被曝の状況をまとめたデータがあります。
 それによると、事故から数年は住民の内部被曝線量は下がり続けるのですが、それから次第にまた増加して来る傾向に転じ、10年を過ぎて、事故直後の数値よりも遙かに高い内部被曝のピークを迎えています。
 それも、第2ゾーンとされる汚染の酷い地域の住民より、比較的安全とされる第4ゾーンの住民、言い換えるのであれば、事故現場からより離れた住民のほうが、遙かに高線量の内部被曝を受けているのです。
 この理由として挙げられるのは、現地の人たちには野山に生える自然の恵みを食卓に持ち込む食文化があります。経済的に貧しいという背景事情が加われば、ますます自然の恵みに依存しなければならなくなる。
 それと油断。第4ゾーンの人たちが、自分たちは安全だろう、まさかこんなところまで、まさかこんなに時間が経って、食品が汚染されていることはないだろう、そう思った心の隙に内部被曝は忍び込み、汚染の酷い第2ゾーンよりも内部被曝線量が高くなったことが考えられます。
 日本に置き換えるとしたら、被曝に十分注意を払っている福島の人たちよりも、その周辺地域、さらにはそこから食材の恩恵を受けている東京の人たちのほうが内部被曝を受けやすいことになります。
 日本人は世界的にみても、魚をよく食べる民族です。いうまでもなく、それは自然の海の恵みによって育まれています。
 福島第一原子力発電所の事故では、海も汚染されました。
 果たして、近海から水揚げされる魚介類はどれだけ汚染されているのか。それは、水揚げの出荷先にして、大量消費地の首都圏の人々の内部被曝にも直結する問題です。農産物にしても海産物にしても、検査義務は産地にあります。
 ところが、茨城県の検査体制はとても信用に値するものではありません。
 かつて、このブログでも紹介しているように、茨城県の行政は、平然と虚偽を喧伝して、事実を改竄しています。信頼を裏切っています。実体験です。


茨城県の不当見解と暴挙
http://aonumazezehihi.blog.fc2.com/blog-entry-48.html

バカでもわかる茨城県の嘘と〝産地偽装〟実態
http://aonumazezehihi.blog.fc2.com/blog-entry-49.html


 ひょっとしたら、内部被曝を怖れる必要もないほどに、海から水揚げされる自然の恵みは汚染されていないのかも知れません。だったら、みんな喜んで食べる。
 だけど、その検査を実施する行政体がまったく信用できないのですから、安心なんてできません。
 そうでなくても、茨城県が公表したところをみるだけでも、今年1月28日に大洗町沖で採取されたスズキから1キログラムあたり88.2(セシウム134=23.6/セシウム137=64.6)ベクレルの放射性セシウムが検出されています。
 ですから、より検査は慎重であるべきなのですが、とてもこの県の対応は、信用に値するものではありません。
 このままではチェルノブイリと同じように、周辺住民の、それもより離れた大量消費地の東京の人たちのほうが、食物汚染による内部汚染が深刻化する可能性はとても否定できません。
 従って、茨城県の海産物は食べないほうがよい。少なくとも、ぼくはそう思います。
 茨城県には、ぼくの尊敬する方々も住まれていて、とても心苦しいのですが、原発汚染の現実は避けて通れるものではありません。これにどう対処していくか、地元行政やこれを司る人々の問題です。
 首都圏の大人も子ども巻き込んだ、ほんとうに危機的状況です。甘く考えすぎている。
 詳しいことは、この本の中にまとめています。チェルノブイリの地元ウクライナの国立放射線医学研究センターから提示を受けた周辺住民の内部被曝線量の変遷データも収録しています。
 目を通してみてください。そして、いっしょに考えてみてください。



フクシマカタストロフ カバー・帯  http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163900148
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プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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