復刻『青ちゃん新報』「そんなことまでさせて、本当にいいと思っているのですか!?」証拠調べ最終版で裁判長が咆えた 2014年2月24日

復刻!青ちゃん新報2電子版 

ついに証拠調べ終了!
その直前に発した裁判長の詰問。
「そんなことまでさせて、本当にいいと思っているのですか!?」
そのとき平田被告は……
 また遮蔽だ。
 24日午前10時。東京地方裁判所第104号法廷ではじまった平田信被告の裁判は、またしても証言台を囲う遮蔽板が登場してくる。そして、アコーディオンカーテンを引いて、証人の入退廷すら見せなくする。
 その向こう側に出てきたのは、平田被告の大学時代の友人だった。マスコミの取材に合うのがいやだから、こうした措置をとっているのだとか。やれやれ。これじゃあ、公判といいながら、どんな人物がやって来ているのか、傍聴人のチェックができない。ひょっとしたら、裁判所を騙したオウム信者の仲間かも知れないのに。暗黒裁判の入口だな。
 だけど、そのあとに証言台に立った73歳になる高齢の女性は、遮蔽を必要としなかった。平田被告の伯母にあたる人物だった。この日のために、わざわざ平田被告の故郷の札幌からやって来たのだ。
 そして、その次に立ったのは、78歳になる平田被告の叔父。彼は帯広から駆けつけている。
 平田被告の親族は、傍聴人の前に顔をさらしながらも、身分を明かし、緊張する中で、身内のために一所懸命に証言をしている。これが当たり前の風景なのだろうけど、なんだか頭が下がる思いがする。まだ、平田被告にはこういう人たちがいるだけ、幸せなのだろうな。
 ふたりの証言によると、平田被告が指名手配されたあとの両親はとてもたいへんだったようだ。父親は会社を辞め、酒量も増えていく。そして、2006年に他界。父親が危篤に陥ったことは、滝本太郎弁護士のブログを通じて平田被告も知っていたという。その後、独りとなった母親は一軒家から札幌市内のマンションに移るが、精神的に追い詰められ疲弊したところで、叔父のいる帯広に移り住む。そこで本来の自分を取り戻すも、平田被告の出頭前の2011年7月に他界。
「出頭があと半年くらい早ければ、母親に会えた。姉もあと半年生きててくれれば、会えたのに」(平田被告の叔父)
 平田被告は出頭するまで母親の死を知らなかった。ただ、母親が平田被告にあてた手紙だけが残されていた。その書き出しには「お帰りなさい」とあったという。
 ふたりの証言が終わると、再び被告人質問に入った。
 ここで平田被告が、前回法廷で仮谷事件の遺族の仮谷実さんから、指摘を受けたことについて触れる。(→詳細は本紙2014年2月21日号へ!)
 
弁償金だって、
女に貢がせたカネだろ!!

 まず、謝罪文を「自己満足」といわれたことについて、
「非常に狭い自己の了見で書いたものなので、自己満足、自己憐憫的な部分があると、不適切だったと思います」
 また、上から指示されたことは、目的や計画を知らなくても、それを訊くこともなく、ただ従っていたことを「教団の体質」と呼んでいたことについては、
「仮谷実様がおっしゃったとおり、出家した当時、麻原への白紙委任状を渡したもいっしょで、〝自己の思考停止、思考放棄〟に差し替えていただきたいと思います」
 更には、出頭時にあった800万円について触れ、このうち400万円を仮谷さんへ、400万円をオウム真理教犯罪被害者支援機構に弁償のつもりで寄付している。ただし、それでも仮谷さんは、逃走資金として教団から出たものであるのなら受け取らないと証言したことについて触れ、
「正直、非常に驚きました」
 として、その金が約17年間の潜伏生活をいっしょに送っていた女性が働いてカネであることを強調する。彼女は整骨院で働き、給料袋ごと平田被告に渡しては、カネの管理の全て平田被告に任せていた。
 教団逃走時に持っていた1200万円は、女性が整骨院で働き始める東大阪市に移った頃には、「50万から70万、多くても80万円はいってない」ほどになり、ここから約14年間、女性が働いたカネを貯めて作ったものであるという。もちろん、平田被告はこの女性の働く整骨院の寮に潜伏し、飲み食いも全て賄ってもらうという、究極のヒモ男生活を送っていた。
 その800万円の使い道について、はっきりこう述べている。
「私は、直接かかわった仮谷様ご遺族への全額の振り込みを希望しました」
 だけど、それも出頭後、最初に接見して、のちに彼女の弁護人となる滝本太郎弁護士が振り分けを決めて手続きをしたもので、
「そのあとに、聞きました」
 だから、本音は全額を仮谷さんに弁償したい気持ちがあったのだ、ということを言いたいらしい。それがうまくいかなかった。
 しかし、だ。いくら弁償といったところで、そのカネすら、自分で汗水を垂らして働いて稼いだものではないのである。
 言い換えれば、弁償金すら、〝究極のヒモ男〟として女に出させているのだ。それで使い道がどうこう言えた義理か!?筋道から言えば、平田被告の弁償でもなんでもないのだ。
 なんだか、そういうところに「狭い了見」や「自己満足」の「思考停止」が働いている気がしてならない。この男が、どうしても軽いものに見えてしまう。
 被告人質問の最後に裁判長がいくつか質問しているが、そのなかに、この女性のことについて触れたものがあった。

平田信の本性とは
齊藤啓昭裁判長・法服 齊藤啓昭裁判長 VS 平田信被告平田信2 
裁判長「社会復帰ですがね、○○さん(女性の名前)が、ずっとあなたを待っていると言っていましたね。あなた自身はどうなの?」
平田「社会復帰のことですか?○○が待っていてくれる前提がありますけど、私個人としては負債者に対して弁償金を支払うために仕事をします」
裁判長「○○さんと、生活するの?」
平田「待っててくれるのであれば」
裁判長「自分自身はどうなんですか。いっしょに暮らしたいんですか」
平田「先のことを考えることはできませんが、待っていてもらう時間は減らしたいと思います」
裁判長「そういう意思は、○○さんに伝えているんですか」
平田「接見停止が解けたので、手紙を書いたりしています。あの!さっきの答えで、時間を短くとは、刑期を短くしてくれということを言っているのではなくて……」
裁判長「待っていてくれるなら、いっしょに生活したいということですか」
平田「はい」
裁判長「○○さんに、そんなに待たせることまでさせて、本当にいいと思っているんですか!?」
平田「(言葉に詰まる)…………本当にいいかというと、○○の気持ちには応えたいと思います」

 こういうのを、相手の身になって考えられない「教団の体質」というのか、女の気持ちを利用するだけの「ヒモ男根性」が染みついたというのか、平田信という男の本性を見た気がする。
 これはひょっとすると判決は厳しいかな。だって、裁判員は6人中5人が女性なんだもの。
 この尋問のあと、裁判の証拠調べは終了。次回、論告と弁論をもって、いよいよ結審する。あとは、判決を待つばかりとなる。





フクシマカタストロフ カバー・帯  http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163900148
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プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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