再び!『青ちゃん新報』「私は恨まれている」〝信義なき戦い〟法廷抗争勃発! 2014年5月14日

再び!青ちゃん新報2電子版

「私は恨まれている」中川智正死刑囚がついに究極の発言!!
「やっぱり、私は恨まれているのかな」
 14日、東京地方裁判所で開かれた菊地直子被告の公判に証人として出廷した中川智正死刑囚は、証言の最後にそう語って、鼻をグズグズと鳴らしながら泣きはじめた。
 恨まれている‐‐。中川死刑囚が自覚するその相手とは……。
 前日に引き続き、この日も中川死刑囚は、都庁爆弾事件で爆薬の原料となった薬品を山梨県上九一色村(当時)の教団施設〝クシティガルバ棟〟から、5回に亘って、菊地被告に運ばせたことを証言。すべて中川死刑囚の指示によるものであり、それが爆薬の原料であるという「認識は菊地被告になかった」という弁護側の主張に沿う証言を繰り返した。
 ただ、そうはいうものの、その一方で村井秀夫幹部(当時)が刺殺された95年4月24日には、菊地被告に対して、
「なにをしようとしているか、わかる?」
 と、訊ねていることも明言。
「自分は麻原氏のことを考えて(逮捕阻止のための捜査妨害を)していた。村井さんも同じだった。その村井さんが死んで、なにをやっているのかな、と気落ちした気分になった。その時に、虚しい気がした。だから〝なんでこんなことをやっているのか、わかるか?〟と聞いた。彼女はわかってなかったと思ったんで、確認した」
 そもそも、同年3月22日から一斉家宅捜索の入った上九一色村の教団施設にいた菊地被告を、4月18日に中川死刑囚がわざわざ呼び出して、薬品が運び出せるかどうか、本人に確認しているところから本件ははじまっている。

中川智正 「私は、恨まれているのかな……」

 誠実そうに理路整然と話すようでいて、どこか要領を得ない中川死刑囚の証言に、左右ふたりの裁判官がくだくだと執拗に尋問を繰り返し、お陰で裁判長はなにも訊くことがなく、尋問が終了しようとした直前のことだった。
 菊地被告の弁護人が立ち上がると、2日前に同じ法廷に立った井上嘉浩死刑囚との証言の食い違いについて訊ねたのだ。
「井上が中川さんのことを悪く言っていることはあるか」
 弁護人の問いかけに中川は「ある」とはっきり答えた。そして、
「私に対して、意地になっているかな、と思う」「井上くんもわかっていると思うことでも、私が言っているからという理由で、反対のことを言っている気がする」つまり、井上は意図的に〝嘘〟をついている、というのだ。
 その理由はあるのか? 中川は「ある」と答えた。
 どういうことか?
「裁判上のことで、ふたつの相違点がある」と言った。
「自分はいまでも童貞です!」井上嘉浩2 

抗争の火種は19年前の逮捕時に……
 そのひとつは、麻原公判で噴出した「ジフロ」問題。地下鉄サリン事件が発案から短時間で決行が可能だったのは、サリンがすぐに生成できたから。それも、サリンになるひとつ手前の生成原料「ジフロ」を隠し持っていたから。
 そのジフロを隠し持っていたのが、井上は中川だといい、当初は自分だと言っていた中川が、実は井上が隠していた、と麻原公判で供述を変えたのだ。
「地下鉄サリン事件のサリン原料(ジフロ)を、当初、捜査段階で私が持っていたことにした。本当は井上くんが持っていたんですけど。平成7年に逮捕され、平成9年の裁判で、井上くんが持っていた、と言うようになった。井上くんは違うと言っていたけど、それで裁判は終わった」
 これが最初の相違点であり、遺恨のはじまりだった、と中川は言いたいらしい。
「それが、仮谷さんの逮捕監禁事件で、あとで井上くんが仮谷さんのご遺族に手紙を書いて、私が薬物を注射したと言った。事件は、私が仮谷さんを眠らせている間に死んでしまった事件なんですけど、井上くんは遺族に、実は中川が殺したんだ、ポアできる薬物を使って殺したんだ、と手紙を出した。それが平田信くんが逮捕されて、彼の裁判で井上くんが話した。……(※このあたりのことは『青ちゃん新報』バックナンバーへ!)……
〜〜〜〜
【中川編】aonumazezehihi.blog.fc2.com/blog-entry-58.html
【井上編】aonumazezehihi.blog.fc2.com/blog-entry-66.html
〜〜〜〜
……井上くんがジフロを持っていたことも嘘でない、仮谷さんのことでも私は嘘を言っていない。井上くんの言っていることが事実ではない。それに、井上くんの取調中のことも聞いている。やっぱり、私が恨まれているのかな……。井上くんの取り調べで話していることを聞くと、もう、イヤになる……。例えば、菊地さんがマラソンをしていたときも、中川は菊地にドーピングしていたとか……もっと……言う? もういいかな……もっと言いましょうか……化粧品とか買うのも……」
 もう最後は傍聴席から姿を隠した遮蔽版の向こうで、鼻を鳴らしながらぐずぐずになっていた。エピソードを暴露しようか、それすら辛いし、それを言ったら自分の人格が疑われて不利になるか、でも相手の陰謀を咎めたいし……といった様子で、迷いを路程する。
 さすがに裁判長が止めに入る。
「井上とそういう関係になった、ということね。いいです」
 中川はあとで思い切り鼻をかんでいた。

抗争という名の〝ハルマゲドン〟
 井上に恨まれている。そうハッキリ言い切ってしまった中川。だから、井上の証言は信用できない。自分を貶めるための嘘だ。そう示唆する中川。
 確かに、度を重ねるごとに変遷していく井上の供述や自己陶酔的な主張は、とても信用できそうにない。
 だけど、中川も中川で、最初に必要のない嘘をついたこと、そして供述を変えるという、井上とまったく同じことからはじまったこと。
 どちらの証言も信用に値するものだろうか。
 それも、解脱、悟りの道を目指したはずの法友たちが、繰り広げる〝恨まれている〟〝嘘をついている〟と互いを疎む。
 これがオウムの犯罪者たちの行き着いた究極の正体なのかも知れなかった。
 しかも、最後のその瞬間を静かな境地で迎えるべく余命を過ごすはずの死刑囚が、あからさまに感情を露わにする姿。
 井上VS中川の新たな法廷抗争。爆薬原料の薬品を運んだというだけの女の裁判で勃発する死刑囚の恨み辛み。
 いったい、死刑囚を証人尋問することに、どれほどの価値があるのだろう。
 これが彼らにとっての〝ハルマゲドン(最終戦争)〟であるならば、本当に〝救済〟が必要なのも、彼らなのかも知れない。




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プロフィール

あおぬまよういちろう

Author:あおぬまよういちろう
【青沼陽一郎】
「ジャーナリスト」(週刊文春・週刊新潮)と呼ばれたり、
「ノンフィクション作家」(週刊現代)と呼ばれたり。
 日本文藝家協会・会員名簿には「作家・ジャーナリスト」とある。
 著書に『池袋通り魔との往復書簡』『オウム裁判傍笑記』(小学館文庫)『食料植民地ニッポン』(小学館)『裁判員Xの悲劇』(講談社)『私が見た21の死刑判決』(文春新書)『帰還せず-残留日本兵六〇年目の証言-』(新潮文庫)など。
 映像ドキュメンタリーに『虚像の神様〜麻原法廷漫画〜』シリーズ。

ぜぜ−ひひ【是々非々】
 よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。
「 是を是とし非を非とす る、之を知と謂い、是を非とし非を是とする、之を愚と謂う」『荀子』修身より

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